2009年夏の7冊

昨年に引き続き、夏(7月8月)に読んだ本についてまとめます。
前回は特に面白かった本8冊をまとめましたが、今年は読んだすべての本とその中から特によかった7冊についてまとめます。

1.今年買って読んだ本

まずは今年買って読んだ本の一覧です。全部で25冊読みましたが、実は最初に買った本がまだ6冊くらい残っています...。
全部読めなかったことがとても心残りでなりません。


一番右の列の日付は読み終えた日付であり、感想記事へのリンクにもなっています。

No タイトル 著者名 評価*1 読み終えた日(感想リンク)
01 リズム 森絵都 2009/7/5
02 姉の結婚 群ようこ × 2009/7/7
03 子供の領分 吉行淳之介 2009/7/13
04 Q&A 恩田陸 2009/7/14
05 「心の掃除」の上手い人、下手な人 斉藤茂太 2009/7/14
06 僕は運動おんち 枡野浩一 2009/7/14
07 おれは非常勤 東野圭吾 2009/7/16
08 夜の朝顔 豊島ミホ 2009/7/22
09 きつねのはなし 森見登美彦 2009/7/24
10 誤算 松下麻理緒 2009/7/26
11 今夜は眠れない 宮部みゆき 2009/7/26
12 父親 遠藤周作 2009/8/1
13 図書館の神様 瀬尾まいこ 2009/8/2
14 バスジャック 三崎亜記 2009/8/2
15 いちご同盟 三田誠広 2009/8/5
16 ゴールド・フィッシュ 森絵都 2009/8/6
17 見えないだれかと 瀬尾まいこ 2009/8/14
18 サマータイム 佐藤多佳子 2009/8/16
19 夏のこどもたち 川島誠 × 2009/8/17
20 あの歌がきこえる 重松清 2009/8/18
21 プリズムの夏 関口尚 2009/8/18
22 温室デイズ 瀬尾まいこ 2009/8/22
23 空をつかむまで 関口尚 2009/8/28
24 片眼の猿 道尾秀介 2009/8/28
25 終末のフール 伊坂幸太郎 2009/8/29

2. 再読した本

こちらは既読の本の中から、特に夏を満喫出来そうなものをピックアップして読みました。
全部で10冊です。

No タイトル 著者名 読み終えた日
01 天国はまだ遠く 瀬尾まいこ 2009/7/7
02 家族八景 筒井康隆 2009/7/12
03 カラフル 森絵都 2009/8/1
04 流転の海 宮本輝 2009/8/12
05 夏の庭 湯本 香樹実 2009/8/15
06 時をかける少女 筒井康隆 2009/8/17
07 地の星 - 流転の海 第二部 宮本輝 2009/8/23
08 血脈の火 - 流転の海 第三部 宮本輝 2009/8/24
09 天の夜曲 - 流転の海 第四部 宮本輝 2009/8/27
10 夜のピクニック 恩田陸 2009/8/30

3. 夏らしさが感じられて面白かった本

単純な面白さについては上の表の評価のところを見ていただければおおよそどうだったのか分かると思いますので割愛します。
ここで紹介したいのは単純におもしろいとかおもしろくないという基準だけではなく、どれだけ夏らしさを感じさせてくれたのかということです。それプラスおもしろいかどうかという基準を加えて選んでみました。順番は読んだ順番です。


(1) リズム

リズム (角川文庫)

リズム (角川文庫)

どんなときでも回りに流されず自分のリズムを刻む大切さ。
大人になればそういうことも自然と分かってくるけれど、10代のうちにその局地にたどり着けたらその後の人生は大きく変わるような気がします。その後の人生を変えるほど、大きく成長できるきっかけというのは案外たいしたことのない動機やきっかけで訪れるのかも知れないなと思ったのでした。


この作品を気に入った人には続編のゴールド・フィッシュもお勧めします。


ゴールド・フィッシュ (角川文庫)

ゴールド・フィッシュ (角川文庫)



(2) 僕は運動おんち

僕は運動おんち (集英社文庫)

僕は運動おんち (集英社文庫)

大人しくて地味だった一人の男の子が自分の得意なものを見つけて居場所を見つけていく様子がすごくよかったです。
日記風の文体や、かわいいポエムに10代らしい青臭さが感じさせられてグッときました。



(3) 夜の朝顔

夜の朝顔 (集英社文庫)

夜の朝顔 (集英社文庫)


一人の少女の視点で描かれる、小学校から中学校のある瞬間瞬間を切り取った短編集なのですが、子どもの視点をとおして見える学校や友達という存在の描写が非常に共感を覚える作品でした。自分の過ごした子どもの頃とは全然違うはずなのに、ものすごく共感してしまう不思議。
秋田弁が出てきたというのも、ささやかながら惹かれる一因になったような気がします。


あとはタイトルがひじょうに魅力的だと感じました。
12,3年前に、TBSのドラマで真昼の月っていうのがあったのですが、わたしはこのタイトルがものすごく好きでした。「真昼の月」というのは表には出てこないけれど深層心理に内在しているトラウマを表す言葉だそうで、月は日中も出ているけれど普段は太陽の光が明る過ぎて見えないこととかけているそうです。こんな感じで、本来は組み合わせることのない単語同士を並べて作る文章ってすごく好きです。



(5) 図書館の神様

図書館の神様 (ちくま文庫)

図書館の神様 (ちくま文庫)


The 青春ストーリー!!



(6) あの歌がきこえる

あの歌がきこえる (新潮文庫 し 43-14)

あの歌がきこえる (新潮文庫 し 43-14)


これも「夜の朝顔」と同様に、一人の少年が過ごした小学生から高校卒業までのいくつかの瞬間を切り取って描いた短編集で非常におもしろかったのですが、それに加えて年齢ごとに思い出にリンクする形で楽曲がくっつけられているのがとてもよかったです。
わたしはこの楽曲にはまったく思い入れがなかったのにすごく楽しめたことを考えれば、音楽にも思い入れがある人が読んだらかなりの破壊力になりそうです。


やはり、10代の頃に聴いた音楽というのは思い出を引き出すキーになるなと思ったのでした。
昔聴いた音楽についてはあとで何かまとめるかも。


(7) サマータイム

サマータイム (新潮文庫)

サマータイム (新潮文庫)


ずっと忘れていたけれど、実は記憶の底に残っていた夏の思い出。
わたしもこんな思い出が欲しかったけれど、こんな甘酸っぱいのはないから、この本を自分の思い出と差し替えてしまいたいです。


4. なんとなくまとめ


2ヶ月で35冊という読書量には満足しました。帰省の移動が車じゃなければもう5冊はいけたような気がしますので、来年は40冊を目指したいです。


前から何度も書いているけれど、夏と子どもの成長譚というのはとてもよい組み合わせだと思います。
ナツイチや新潮文庫の100冊にその手の物語が多いところをみると、これはわたし個人の感覚だけではなくてそれなりに一般的に多くの人が受ける印象と違いはない気がするのです。


そういった視点で見ると、今年は夏らしさが感じられる本がたくさん読めて非常に喜ばしい限りでした。
ただ、全体をとおして眺めてみると平均点はものすごく高くなるのですが、突出したものはありませんでした。昨年わたしをとりこにした「夜のピクニック」のようなガツンとくる作品がなかったのは少々残念でした。
とは言え、たくさん本が読めたことやよい本に出会えたことはとても嬉しいし、改めて読書する楽しさに魅了されたわたしは早くも来年の夏が楽しみになってきました。来年用にすでに数冊ピックアップしてあるので、それは夏まで読まずに温めておきます。


その本を読むためにも、また一年頑張って過ごそうと思います。

*1:おおよその評価はこんな感じです
◎:すごくおもしろかった
○:おもしろかった
△:まあまあ
×:うーん...