- 作者: 瀬尾まいこ
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/06/25
- メディア: 文庫
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みちると優子は中学3年生。2人が通う宮前中学校は崩壊が進んでいた。校舎の窓は残らず割られ、不良たちの教師への暴力も日常茶飯事だ。そんな中学からもあと半年で卒業という頃、ある出来事がきっかけで、優子は女子からいじめを受け始める。優子を守ろうとみちるは行動に出るが、今度はみちるがいじめの対象に。2人はそれぞれのやり方で学校を元に戻そうとするが…。2人の少女が起こした、小さな優しい奇跡の物語。
http://www.amazon.co.jp/dp/4048735837
いじめに負けず、学校生活を全うしたというお話なのですが、読みながら終始いたたまれない気分に苛まれとても悲しい気分で読みました。「理由なんてなくて、ただそういう空気だからいじめるんだ」っていうのはたしかにそうかも知れないけれど、読むだけで本当に悲しくなります。
たしかに学生生活なんてこんなもんかも知れないけれど、何だかやるせないなと元気が出なくて目がしょぼしょぼしてしまうような作品でした。
本作のタイトルを読んで「温室ってなんのことだ?」と思ったのですが、「世間は厳しくて、それに比べたら中学校なんて温室なんだ」という教師の言葉が元になっているようです。
中学校が温室だなんていったい何の冗談だろうと困惑してしまい、思わず鼻水が出そうになりました。
たしかに学生の時よりも社会に出てからの方が厳しいっていう人はたくさんいましたが、いまだにわたしには中学生の頃の方がよほど厳しく生きにくかったように感じられます。あの狭っくるしい中でいびつな形で作り上げられる人間関係に悩んでいた中学生時分の大変さや窮屈さに比べたら、今の辛さなんて鼻くそみたいなものだと断言できます。
当時は大人の「社会の方が厳しい」に感化されてしまい、「義務教育でさえこんなに大変なのに社会に出たら生きていけるのだろうか」と死ぬほど不安を抱えたものですが、無駄に驚かされただけだったようでとても腹立たしく感じます。
今になって思うのは、年齢が上であることということでしか他人に優位性を示せない人ほど、社会に出たらと大変だと説き続けていたよな気がするということです。
本書を読んで、世間は甘くないんだと言うような、そして中学校を温室呼ばわりするような程度の大人にはならないようにしようと心に決めました。