最近読んだ本の感想(2014/07/01〜07/15)


2014年7月1日から7月15日までに読んだ本。

42. 死にぞこないの青


死にぞこないの青 (幻冬舎文庫)

死にぞこないの青 (幻冬舎文庫)

飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは、大好きだった羽田先生から嫌われてしまう。先生は、他の誰かが宿題を忘れてきたり授業中騒いでいても、全部マサオのせいにするようになった。クラスメイトまでもがマサオいじめに興じるある日、彼の前に「死にぞこない」の男の子が現れた。ホラー界の俊英が放つ、書き下ろし長編小説。

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このあらすじはちょっと違う気が...。別に嘘をついたわけじゃないよね。

ま、それはそれとして、クラスの秩序を維持するための生贄としていじめの対象となった少年を描いた作品なんですが、既に2回ほど読んでいるはずなんですが毎回初めて読むような新鮮な気持ちで読んでいます。わたし自身、こんなふうにいじめられていたことは無いのですが、似たような嫌な経験はしたことがあるので本の内容を記憶に残すことを拒絶してるのかなと思ったのでした。

43. 失踪HOLIDAY

14歳の冬休み、わたしはいなくなった―。大金持ちのひとり娘ナオはママハハとの大喧嘩のすえ、衝動的に家出!その失踪先は…となりの建物!!こっそりと家族の大騒ぎを監視していたナオだったが、事態は思わぬ方向に転がって…!?心からやすらげる場所を求める果敢で無敵な女の子の物語。その他うまく生きられない「僕」とやさしい幽霊の切ない一瞬、「しあわせは子猫のかたち」を収録。きみが抱える痛みに、そっと触れます。

http://www.amazon.co.jp/dp/4044253013

表題作もおもしろいのですが、それよりも「しあわせは子猫のかたち」が最高にすばらしくて何度も何度も繰り返し読みたくなる傑作です。
ある部屋に住むことになった男性が、自分以外の存在が部屋にいることに気付くんだけど....というややホラー路線のお話なんですが、これがもう読んでるうちにどんどん感情移入しちゃって危険なレベルです。

不器用であるがゆえに他者と関わって生きることを諦めて一人で生きていくことを選んでいたはずの主人公が、言葉を交わすこさえできない他者と共存していくことでふいに誰かといっしょに生きる希望を得てしまうというくだりには思わず泣きそうになりました。


乙一さんの作品ってわりと苦手なタイプの話が多いのですが、こういうすごいのが不意に出てくるので読むのを止められないです。


44. GOTH 僕の章

この世には殺す人間と殺される人間がいる。自分は前者だ―そう自覚する少年、「僕」。殺人鬼の足跡を辿り、その心に想像を巡らせる「GOTH」の本性を隠し、教室に潜んでいた「僕」だったが、あるとき級友の森野夜に見抜かれる。「その笑顔の作り方を私にも教えてくれない?」という言葉で。人形のような夜の貌と傷跡の刻まれた手首が「僕」の中の何かを呼び覚ます。彼女の秘密に忍び寄った彼が目撃するのは…。圧倒的存在感を放ちつつ如何なるジャンルにも着地しない乙一の、跳躍点というべき一作。「僕」に焦点した三篇を収録。

http://www.amazon.co.jp/dp/4044253056

45. GOTH 夜の章

森野夜が拾った一冊の手帳。そこには女性がさらわれ、山奥で切り刻まれていく過程が克明に記されていた。これは、最近騒がれている連続殺人犯の日記ではないのか。もしも本物だとすれば、最新の犠牲者はまだ警察に発見されぬまま、犯行現場に立ちすくんでいるはずだ。「彼女に会いにいかない?」と森野は「僕」を誘う…。人間の残酷な面を覗きたがる悪趣味な若者たち―“GOTH”を描き第三回本格ミステリ大賞に輝いた、乙一の跳躍点というべき作品。「夜」に焦点をあわせた短編三作を収録。

http://www.amazon.co.jp/dp/4044253048

「GOTH」はわりと苦手なタイプの作品なんですが、でもすごく好きで何度も再読しちゃっています。


46. ZOO 1

ZOO 1 (集英社文庫)

ZOO 1 (集英社文庫)

何なんだこれは!天才・乙一のジャンル分け不能の傑作短編集が「1」、「2」に分かれて、ついに文庫化。双子の姉妹なのになぜか姉のヨーコだけが母から虐待され…(「カザリとヨーコ」)、謎の犯人に拉致監禁された姉と弟がとった脱出のための手段とは?(「SEVEN ROOMS」)など、本書「1」には映画化された5編をセレクト。文庫版特別付録として、漫画家・古屋兎丸氏との対談も収録。

http://www.amazon.co.jp/dp/4087460371


かなり好きな短編集なのですが、「SEVEN ROOMS」は最悪で最高です。
これも大好きで何度も読み直しているのですが、読むたびに夜に走りに行くのが嫌になります。


47. ZOO 2

ZOO 2 (集英社文庫)

ZOO 2 (集英社文庫)

天才・乙一のジャンル分け不能の傑作短編集その2。目が覚めたら、何者かに刺されて血まみれだった資産家の悲喜劇(「血液を探せ!」)、ハイジャックされた機内で安楽死の薬を買うべきか否か?(「落ちる飛行機の中で」)など、いずれも驚天動地の粒ぞろい6編。文庫版だけのボーナストラックとして、単行本に入っていなかった幻のショートショート「むかし夕日の公園で」を特別収録。

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「ZOO1」は好きだけどこちらはそんなに好きじゃないです。そこそこおもしろいんですけどね。


48. 失はれる物語

失はれる物語 (角川文庫)

失はれる物語 (角川文庫)

目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て、日日の想いを演奏で伝えることを思いつく。それは、永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるが…。表題作のほか、「Calling You」「傷」など傑作短篇5作とリリカルな怪作「ボクの賢いパンツくん」、書き下ろし最新作「ウソカノ」の2作を初収録。

http://www.amazon.co.jp/dp/4044253064


上でも書いたとおり乙一さんの作品は苦手な作品が多いのですが、中でもこの表題作は最強です。
初めて読んだときは、読んでいるうちに具合が悪くなって何度も休みながら読むことになったくらい超苦手です。こういう状況に自分がおちいったときのことを想像するだけで気が滅入って死にたくなります。


49. 小生物語

小生物語 (幻冬舎文庫)

小生物語 (幻冬舎文庫)

多数の熱狂と興奮を喚んだ現代の「奇書」がついに文庫版で登場。希代のミステリー作家・乙一の波瀾万丈、奇々怪怪にして平穏無事な日常が独特の“ゆるゆる”な文体で綴られる。虚実入り交じった小説家の一六四日間をご堪能ください!文庫書き下ろし日記(三日分)付き。

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乙一さんがネットで綴った日記をまとめたエッセーですが、なんかもうとにかく緩くて笑えます。
こんなおもしろいことを書く人があんな想像するのもおそろしい物語を書いちゃうのって不思議だなと思わずにはいられません。