最近読んだ本の感想(2014/07/16〜07/31)


2014年7月16日から31日に読んだ本のまとめ

50. 箱庭図書館

箱庭図書館 (集英社文庫)

箱庭図書館 (集英社文庫)

少年が小説家になった理由。コンビニ強盗との奇妙な共同作業。ふたりぼっちの文芸部員の青くてイタいやりとり。謎の鍵にあう鍵穴をさがす冒険。ふと迷いこんだ子どもたちだけの夜の王国。雪の上の靴跡からはじまる不思議な出会い。集英社WEB文芸「RENZ ABURO」の人気企画「オツイチ小説再生工場」から生まれた6つの物語。

http://www.amazon.co.jp/dp/4087713865

読者が投稿した作品の中から乙一さんがこれだという作品を選んでリメイクするというとてもユニークな短編集。
ありえなさおうなんだけど、でももしかしたら....と思えるくらいにささやかなリアリティを残した世界観はとても乙一さんらしくて読んでて楽しくなりました。蒸し暑い夏の夜、浅く眠りながら見た夢のような不思議な物語はどれも心に残るステキなものばかりでした。とくに、雪の上に付いた靴の足あとを介してつながったパラレルワールドを描いた「ホワイト・ステップ」はすごくよかったです。好き好き。


51. 百瀬、こっち向いて。

「人間レベル2」の僕は、教室の中でまるで薄暗い電球のような存在だった。野良猫のような目つきの美少女・百瀬陽が、僕の彼女になるまでは―。しかしその裏には、僕にとって残酷すぎる仕掛けがあった。「こんなに苦しい気持ちは、最初から知らなければよかった…!」恋愛の持つ切なさすべてが込められた、みずみずしい恋愛小説集。

http://www.amazon.co.jp/dp/439633608X

短編のどれもが素敵な物語ですが、中でも「容姿だけで判断されることの怖さを知ったかわいい女の子が誰からも注目されたくなくてブサイクのふりをしていたんだけど、ある日素顔のままでクラスメートの男の子に会ってしまって...」という「小梅がとおる」という作品がとても好きです。


52. おしまいのデート

中学三年生の彗子は両親の離婚後、月に一度、父の代わりに祖父と会っていた。公園でソフトクリームを食べ、海の見える岬まで軽トラを走らせるのがお決まりのコース。そんな一風変わったデートを楽しむ二人だったが、母の再婚を機に会うことをやめることになり…。表題作のほか、元不良と教師、バツイチOLと大学生、園児と保育士など、暖かくも切ない5つのデートを瑞々しく描いた短編集。

http://www.amazon.co.jp/dp/4087451887

一般的にデートと言えば恋仲の男女がするものと相場は決まっていますが、本作は多様なペアのデートを描いた短編集でしてたいへんおもしろかったです。著者の瀬尾さんは「どんな人同士でも一緒の時間を過ごすと相手との距離が縮まる」という信念があるんじゃないかと思うくらいそういった内容の作品をよく書いているのですが、この作品もまたそういった主張をつよく感じる作品でした。

どの作品もすごくよいです。

53. at Home

父は泥棒、母は結婚詐欺師。僕はパスポート偽造屋で働いており、弟はゲームの中で世界を救ってばかりいる。一家はそれなりに平和に暮らしていたが、ある日、母が結婚詐欺のターゲットに逆に誘拐されてしまう。犯人に呼び出された父と僕は、偽札が詰まった紙袋を持って母を助けに向かうが―。巧妙な伏線が張り巡らされ、驚きと涙なくしては読めない結末を迎える表題作を始め、現代の家族のかたちを描ききった傑作小説集。

http://www.amazon.co.jp/dp/4041008522


家族というのはこの世界で最小の組織単位だとわたしは思っていますが、あらためて「家族とは?」と問われるとどういうものを家族と呼ぶべきか非常にむずかしいことに気付きます。血縁者がひとつ屋根の下に暮らしていれば家族なのかと言えば、大体はそうだろうなと思いつつもそうではないなと思い至るケースもあります。
では逆に血縁者じゃなければ家族じゃないのか?と言うと、それはそうではないなとはっきり断言できるわけで、家族というものを明確に定義できるようででもできない部分もあるというわたしにとってはあやふやなモノだったりします。


本作はその「家族とは?」という疑問に答えることをよりむずかしくする物語が詰まっていて、読みながらやっぱり家族ってよくわかんないなあという想いをあらたにしました。


54. 「42.195kmの科学 マラソン「つま先着地」vs「かかと着地」」

なぜ「つま先着地」が重要か?マラソン歴代上位100傑のうち9割がケニアエチオピア勢、彼らの強さの真相。急激に進むマラソンの高速化に科学的に迫る。

http://www.amazon.co.jp/dp/4041104017


足底筋膜炎をわずらって1年が経とうとしていますが、り患してから自分の走り方についてあれこれ調べてみました。
体が硬いのがよくないとかいろいろとよくない部分が見つかったのですが、その中で唯一「果たしてこれがいいのかどうかわからない」と悩んだのがフォアフット走法でした。要はわたしはつま先着地だったのです。

と言っても意図してそういう走り方をしていたわけではなく、ランニングシューズを買いに行ったときに計測してもらったところそういう走り方をしていると指摘を受けました。たしかに言われて見ればくだりよりものぼりの方が走りやすかったり、持久力よりはスピードの方があったりとたしかにつま先着地なタイプだなと。

でももしかしたらそのせいで足に負担がかかってこんな状況になったんじゃないか?と思ったりもしていて、走り方を変えるべきなのかどうかずっと悶々と悩んでいたのですが、そのときにこの本を見つけて読んでみることにしました。


読んだうえで出した結論は「悩む必要はないのでこのままフォアフットで!」ということで。
わたしにとってよくなかったのは、この走り方ではなくアフターケアの無さだったようです。


55. くちびるに歌を

くちびるに歌を (小学館文庫)

くちびるに歌を (小学館文庫)

拝啓、十五年後の私へ。中学合唱コンクールを目指す彼らの手紙には、誰にも話せない秘密が書かれていた―。読後、かつてない幸福感が訪れる切なくピュアな青春小説。

http://www.amazon.co.jp/dp/4093863172

この作品は映画化されると聞いていたのですがなかなか情報が出てこなくてさっき調べてみたら2015年2月公開となっていました。
楽しみ楽しみ。


56. 我が家の問題

我が家の問題 (集英社文庫)

我が家の問題 (集英社文庫)

どうやら夫は仕事ができないらしい。―あなたの家にもきっとある、ささやかだければ悩ましい問題。

Amazon CAPTCHA

たまにテレビでおしどり夫婦なんて言葉で仲の良い夫婦を呼んでいますが、その発言を聞くたびに「オシドリは毎年パートナー変えてるんだけどそれ知ってて言ってんの?」とイライラしていました。まあいつも仲良く寄り添い合う理想の夫婦みたいなものをオシドリ夫婦と呼ぶのは呼ぶ人の勝手ですが、夫婦の形なんてそれこそ夫婦の数だけあるわけですしその多様性こそがおもしろいわけですから、「こういうのって理想の夫婦ですよねー」なんて感じでオシドリ夫婦なんて言葉を使われたりすると頭おかしいんじゃないのかと憤慨してしまうわけです。

こんなことでキレるなんてちょっとカルシウムが足りていなかったようで反省しないとですね(てへぺろ)。


本作はさまざまな夫婦を描いた短編集でして、決して誰もが憧れるような夫婦が出てくるわけではありませんが、だからこそそこにリアリティを感じるし、世界にはいろいろな人がいてそのいろいろな人たちがくっついていろいろな形の夫婦がいることがとてもおもしろいなと思えるのです。


57. 思い出のとき修理します

思い出のとき修理します (集英社文庫)

思い出のとき修理します (集英社文庫)

仕事にも恋にも疲れ、都会を離れた美容師の明里。引っ越し先の、子供の頃に少しだけ過ごした思い出の商店街で奇妙なプレートを飾った店を見つける。実は時計店だったそこを営む青年と知り合い、商店街で起こるちょっぴり不思議な事件に巻き込まれるうち、彼に惹かれてゆくが、明里は、ある秘密を抱えていて…。どこか懐かしい商店街が舞台の、心を癒やす連作短編集。

http://www.amazon.co.jp/dp/4087468895

58. 思い出のとき修理します2 明日を動かす歯車

寂れた商店街の片隅に佇む、「おもいでの時修理します」という不思議なプレートを飾った飯田時計店。店主の時計師・秀司と、彼の恋人で美容師の明里のもとを、傷ついた記憶を抱えた人たちが訪れる。あの日言えなかった言葉や、すれ違ってしまった思い―家族や恋人、大切な人との悲しい過去を修復できるとしたら?切なく温かく、心を癒す連作短編集、シリーズ第2弾。文庫書き下ろし。

http://www.amazon.co.jp/dp/4087451135/

ほのぼのしていておもしろい。


59. ポニーテール

ポニーテール (新潮文庫)

ポニーテール (新潮文庫)

マキとフミは、できたてホヤホヤの「新米きょうだい」二人の心は、近づいたり離れたり、すれ違ったり衝突したり…こんなふうにして、わたしたちは少しずつ家族になっていく。母を亡くした小学四年生のフミ。親の離婚で苗字も学校も変えなくてはならなかった六年生のマキ。それぞれの父母が再婚して「家族」となった二人の少女が過ごした始まりの日々を、やさしく見つめる姉妹小説の決定版。

http://www.amazon.co.jp/dp/4104075116

親の再婚をきっかけに2歳年上の姉ができた4年生の女の子を描いた物語。読んでいるうちに、子どものころに抱えていた気持ちやら感情がジワジワ胸の内に復元されます。

60. 月は怒らない

多重債務者の借財の整理が生業。仕事で訪れた市役所でこの女を一目見た瞬間、声を失った―。バーで女がチンピラに絡まれて目の前で転んだ。助け起こした瞬間、女の顔に釘付けになった―。勤務先の交番の前の市役所に自転車で通う女。結婚しているくせに私はいつもその女を探している―。誰にも期待しない。夢なんて持ってない。だから生きるのラクだった。そんな女になぜか惹かれていく、3人のロクデナシたち。垣根ワールドの新境地。

http://www.amazon.co.jp/dp/4087714152


世の中にはいろんな人がいるよねー、ということ以上の感想が出てきませんでした。