- 作者: 乙一,羽住都
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2000/12/26
- メディア: 文庫
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14歳の冬休み、わたしはいなくなった―。大金持ちのひとり娘ナオはママハハとの大喧嘩のすえ、衝動的に家出!その失踪先は…となりの建物!!こっそりと家族の大騒ぎを監視していたナオだったが、事態は思わぬ方向に転がって…!?心からやすらげる場所を求める果敢で無敵な女の子の物語。その他うまく生きられない「僕」とやさしい幽霊の切ない一瞬、「しあわせは子猫のかたち」を収録。きみが抱える痛みに、そっと触れます。
http://www.amazon.jp/dp/4044253013
読み始めてすぐに気付いたのですが、2本立てのうちの最初の方である「しあわせは子猫のかたち」はこの間読んだ「失はれる物語」で読んだことがありました。タイトル作品である「失踪HOLIDAY」は読んだことがないので、買う前に気づいたとしてもたぶん買う気持ちは変わらなかったとは思いますが二本立てのうち一本既読というのはちょっと残念でした。
と言いつつも、この「しあわせは子猫のかたち」はものすごく好きな作品なので読み飛ばしたりなんかせずにもう一度読みましたが相変わらずとてもよかったです。日常の中に入り込んできそうな、でも冷静に考えるとそんなことは起きないよなあという程度に絶妙な設定がぐっとくるんだよなあ...。
さて。タイトル作品についてですがテレビドラマになったというのが自然に受け入れられるような、そんなテレビ的な構成というか内容でとてもおもしろかったです。
親に対する反発や、親が自分に対して愛情をもっているのかどうかを試すという幼い行為には久しく感じたことのない懐かしさを感じたし、クニコとのかくれんぼ生活は子どもの頃の隠れ家を思い出させられてとてもわくわくしました。さらに駆け込むように結末へ向うラストの疾走感も非常に楽しいと感じました。
ところでこの作品にはそれぞれ何箇所か挿絵が入っていてそれぞれの登場人物が描かれているのですが、わたしは「小説に挿絵はない方がいいな派」なのでこれはちょっと残念でした。いや、絵自体はものすごくかわいくてすごくいいのですが、一度絵を見てしまうと本を読んだ時にその絵が頭の中で再生されてしまうのが嫌なんですよね。文章から伝わってくるイメージで自分の中に薄ぼんやりとですが登場人物が描かれているのに、絵を見てしまうことでその違いに違和感を覚えてしまうのです。
特に「しあわせは子猫のかたち」は既読なので、余計にそう感じてしまいました。漫画化されているらしいのでその絵なのかわかりませんが、小説に絵は無い方がいいというのを再認識しました。
これドラマも見てみたいな。