「愛を読むひと」見たよ


1958年のドイツ。15歳のミヒャエル(デヴィッド・クロス)は、気分の悪くなったところを21歳年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)に助けられる。その出会いから、2人はベッドを共にするようになり、ハンナはミヒャエルに本の朗読を頼むようになる。だが、ある日突然、彼女が姿を消してしまう…。数年後、法学専攻の大学生になったミヒャエルは彼女と法廷で再会する。彼女は戦時中の罪に問われ、無期懲役の判決を受ける。時は流れ、ミヒャエル(レイフ・ファインズ)はハンナの最後の“朗読者”になろうと決心し、彼女の服役する刑務所に物語の朗読を吹き込んだテープを送り続けるのだったが――。ベルンハルト・シュリンクのベストセラー小説「朗読者」の映画化。アカデミー賞作品『めぐりあう時間たち』のスタッフが集結し、“普遍の愛”を描く。

『愛を読むひと』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。
やるせないなあ、というのが観終わっての率直な感想。本作は、21歳の年齢差を超えた恋愛に始まり、ハンナがその生の終わりを迎えるまでの40年を淡々と描いた作品なのですが、時代の流れに対する個人の無力感やひと一人の一生の儚さがすごく伝わってきていたたまれない気持ちになりました。気持ちを揺さぶるとてもよい構成の作品でした。
冒頭のハンナとマイケルが出会ったころの描写が何だか生々しくて苦手な作品だなーと思っていましたが、この一連のシーンがあるからこそ後半でマイケルがハンナへの執着を捨てきれないという説得力になっていたのはすばらしかったです。ハンナには自分だけしか知らない秘密が相手にはあるのだという自負なのか、それとも単純に過去の思い出への執着なのかはわかりませんが、10代という多感な時期にはまってしまった一人の女性への想いをなかなか捨てきれないマイケルの姿は「男の恋愛は名前をつけて保存」という言葉がぴったりで思わず苦笑いしてしまいました。
観る前と前半部分を観た時点では女性向けな作品だという印象があったのですが、見終わって観ると男女どちらもそれなりに視点のもてるよい作品でした。


ただ一点。ハンナが自らにかけられた冤罪を認めるに至ったある理由についてはどうしても納得出来なかったし、共感も出来ませんでした。ここだけはどうにも歯がゆいというか、何とかなりそうなのにどうにも出来ないもどかしさを感じてしまいました。
ここにもう少し説得力があればすごくよかったので、ちょっと残念です。


それにしてもこの邦題は微妙です....。
"The Reader"が"愛を読むひと"ってどう考えてもしっくりこなくて、でも実際に映画を観たら印象が変わるのかななんて思っていたのですがやっぱり違和感は消えませんでした。小説の邦訳タイトルの朗読者の方が絶対にいいじゃんねー。原題、原題の直訳がいつも最善とは限りませんが、この作品について言えば変に凝ったタイトルよりもシンプルな方が絶対に合うと思うんだけどなあ。


公式サイトはこちら