「アイアン・スカイ」見たよ


第2次世界大戦後、完全敗北したと思われたナチス第三帝国の一部のエリートは、連合軍の追跡を逃れ、密かに月へと逃亡した。そして、月の裏側に秘密基地を作り、復讐の機会をうかがっていた。70年の歳月をかけ軍備を強化し、2018年、UFOの大群を率いて地球を侵略しに訪れる…。

『アイアン・スカイ』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮で観てきました。


ナチスが月の裏側に隠れて復讐の機会を待っていたでござるというお話でしたが、設定の突拍子のなさに比べると内容は割合ノーマルなコメディでしてアメリカ社会に対する風刺をチクリと利かせたおもしろい作品でした。


本作のよいところはとにかくにも設定のユニークさと、そこに無理やりリアリティをもたせようとしなかったところだと思います。

移住の手段はよく分からないけどとにかく月に住み着いてしまったナチス
彼らは月の裏側に大きな秘密基地を作ってそこで何十年と生活をしていたわけですが、移住の方法やどうやって生計を立てているのかはまったく分かりません。分かっているのは「月で生活できる程度に文明は発達している」ということと、「でも大事な部分の技術レベルはとても低い」ということです。


空気もほとんどなくて重力も小さいために住む場所としてはかなり問題があるはずなのに、何十年も前からここに定住できるだけの科学力・ノウハウを保持していたことになります。いまの地球上の科学力をもってしても実現できていないことをずっと前から可能にしていたという時点で、ナチスはかなりの科学力ひいては軍事力を有しているのかと思うのですが、実際にはコンピューターは大戦時とほぼ同じ真空管トランジスタメインだったりしてそのギャップに脱力して思わず笑ってしまうのです。


このようにわざとちぐはぐな部分を盛り込むことでこの作品がフィクションであることをうまく強調していたし、そういった表現が現実世界への風刺をコメディとして笑えるものに見せてくれていたように感じました。風刺って弱すぎるとおもしろくないし、きつすぎると笑えないしで加減がむずかしいのですが、そこをうまくコントロールしていたなと感じました。



アメリカ大統領選挙の参謀としてナチスが駆り出されて、しかもそれが国民から支持を受けるというところはすごく笑えたのですが、冷静に考えるとこれって笑えない話だよなと帰ってきてから笑っちゃいました(結局笑ってる)。


あとレナーテ・リヒターがとてもキュートでよかったでござるよ。


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