関東最大の暴力団組織“山王会”の抗争から5年、熾烈な下克上に決着がついたはずだった。しかし、ヤクザ壊滅を図る警察が動き始める。利用されたのは“死んだはずの男”大友”。やがて騙し、裏切りの火種がまたもやくすぶり始め、関東勢VS関西勢(花菱会)の巨大な抗争へと発展していく…。
『アウトレイジ ビヨンド』作品情報 | cinemacafe.net
MOVIX宇都宮で観てきました。
普段、映画はレイトショーで観ることが多いのですが夜は人が少なくて大抵10人以下という少人数で鑑賞することがほとんどです。
宇都宮の映画館って基本的に混むことがあまりなくて、公開直後の作品であってもレイトショーであれば観客が20名を超えることはあまりありません。都市圏と比べると上映作品の数では恵まれていませんが、ゆったりと観られるという点においてはだいぶ恵まれています。
さて。
そんな宇都宮でも割と人気のあるジャンルがありまして、それがヤンキー映画とヤクザ映画です。
ささやかに記憶をさかのぼってみると、「クローズ」シリーズや「ドロップ」、あとは前作「アウトレイジ」もそうだったのですが、公開してしばらくは直前にチケットを取るのが大変なくらい混み合っていて作品によっては公開2週目までは観ることがむずかしい作品もありました。
普段はあまりそういう経験がないのでよくおぼえているのですが、「ドロップ」は公開2週目に入るまではまったくチケットが取れなくてしばらく観られずにいた記憶があります*1。
もちろん、上に挙げた作品は全国でまんべんなくヒットした作品でもありますので地域性と結び付けるのはやや早計とも言えますが、でも観にこられている方々が他者を威嚇しやすいストロングスタイルな格好の方に偏っている状況を見ると、やはり宇都宮という土地はヤンキー・ヤクザ映画が受け入れられやすいんだろうなと結論付けたくなります。
そんなわけで、いつもどおり前置きが長めとなってしまいましたが本作「アウトレイジ・ビヨンド」も予想(期待?)どおりいかつい方々に囲まれて、普段の映画鑑賞とはまた違った雰囲気の中で鑑賞してきました。
まず全体の印象としてはもう期待以上にたいへんおもしろかったです。
ストーリーらしいストーリーなどなくて、とにかく弱肉強食な世界を描いているだけなのですが、嘘をついてその場をしのいだり弱い相手を恫喝したりという大人の世界の汚い部分をこれでもかというほどねじ込みながらも、テンポと歯切れのよい展開で話を紡いでいくことで、極上のエンターテイメントとして楽しめる作品に仕上がっていました。最初から最後まで次の展開が待ち遠しくてたまらなくて、上映時間の2時間があっという間に過ぎてしまいました。ラストの潔すぎるほど潔い終わり方には喝采をしたいほど感動しました。
あと前半は割と人が死なないというか、いわゆる人間関係やパワーバランスを整理して観客に提示する部分が続いたために少し溜めの部分が長いような印象も受けたのですが、その分、中盤以降の次々と人が死んでいくシーンの爽快感といったらなくて「これは前半の溜めがあればこそのおもしろさだな」と一人で感心してしまったのでした。
そういった作品全体のバランスもとても絶妙でよかったでござるよ。
個人的に登場人物で気に入ったのは桐谷健太と新井浩文両名が演じた下っ端チンピラかな。
一般人のことは平気でいじめるくせに上の人間には従順ないかにもヤクザ然とした態度にイライラさせられたのに、大友に「道具は?」と聞かれるとお店の中なのにうれしそうに銃を取り出して見せるバカっぽいところとか見せられるとなんだか憎めないんですよね。
そんな憎めない二人が他の下っ端ーズ(出てきて2カットくらいであっさりとやられる下っ端の人たち)たちと同じように抗争の駒として無残に散っていくところがまた切なくて、とてもやるせない気分になりました。
この世界において、人の命なんてのはごみほどの価値しかないということはよく伝わってきましたし、そのことに怒りをおぼえつつも、でもこれが人間の本能に基づいて自然発生的に起こってある事である以上はどうしようもないことなんだという無常感にもとらわれました。
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*1:映画があまりおもしろくなかったために覚えているとも言えますが