「アウトレイジ」見たよ


関東一円を取り仕切る巨大暴力団組織である山王会の組長、関内(北村総一朗)が若頭の加藤(三浦友和)に、直参である池元組の組長、池元(國村隼)に苦言を呈すことから始まる。若頭の加藤から、直系ではない村瀬組を締め付けるよう命令された池元は、すぐさま自らの配下である大友組の組長、大友(ビートたけし)にその役目を任す。面倒で厄介な仕事は、いつも大友の仕事だった…。

『アウトレイジ』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。


観ているだけでしかめっ面になってしまうような痛いシーン満載でしたが、この世は暴を中心に回っていることを改めて実感できる非常に興味深い作品でした。ミスをしてしまった人は躊躇なく指を詰めさせられたり、歯医者にあるあの削る機械を口に突っ込まれて血だらけになったり、首に縄をかけたまま車が走り出したせいで首が取れそうになりながら車外に放り出されたりと、ちょっと思い出すだけでもかなり壮絶なシーンが多かったのでもう二度と観たくないのですが、でも大勢の人の上に立ってその人たちを能動的に動かそうとしたときに暴力というものがいかに有効なのかということがすごく伝わってくる作品でした。


上でも書いたとおりこの作品は暴力が主として描かれた内容で目を覆いたくなるシーンも少なくなかったのですが、不思議なことに作品全体をとおしてどこか品行方正さみたいな空気もすごく感じたのです。それが何によるものなのか観ながら考えていたのですが、たぶん家父長制に基づいた上下関係が徹底しているところにあるのではないかと感じました。
子は親には絶対逆らえないとか、兄弟の杯を交わしたもの同士助け合うとか、立場が上の人の顔を立てるとか、実態はともかく、そういったことが絶対的に正しいことだということが全員の共通認識として承認されているので、少なくとも建前上だけでもそういったことを守っているということを彼らは周囲に示していかなければならないし、それを守らずに周囲に迷惑をかけることは徹底的に周囲から非難されるのです。
ヤクザな人たちというのは主に暴を使って他人を支配していると思っていたのですが、決してそれだけではなくて、互いに暴力を行使しあって無駄に疲弊することがないように仕組みづくりをしていることに改めて驚いたし、その結果として作り上げられた「上限関係を重んじる」とか「上の人間を立てる」といったところに折り目正しいというか品行方正さを感じたのです。
ただ、実際には品行方正なわけではもちろんありませんし、そういった周知のルールをいかに駆使して自分の手を無駄に汚すことなく相手を思うがまま操れるのかということにみなが腐心しているところを見ているとやっぱり怖い世界だよなー...とガクガク震えてしまいそうになります。


そしてこんな怖い世界は自分とはまったく無縁の世界で起こっているわけではなく、わたしが日常を送っているこの生活圏内のどこかでもこういった人たちが生息しているんだろうなーと思うとさらにブルーになってしまいました。ホント、世の中こわいわ。


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