「THE GREY 凍える太陽」見たよ


石油掘削現場で働く屈強な男たちを乗せた飛行機が、凄まじい嵐に巻き込まれアラスカ山中に墜落。7人の男が生き残ったが、なんと彼らが放り出されたのは、吹雪が荒れ狂い大地の全てが深い雪に覆われた、想像を絶する極寒の地だった。厳しい寒さに体力を奪われ、まともな食料も手に入らない苛酷な状況を強いられた男たち。やがて大自然の猛威により命を落とす者や、侵入者を執拗に攻撃するオオカミの犠牲になる者も現れる。果たして彼らの生死を賭けた壮絶な闘いの先に待っているものとは―。

『THE GREY 凍える太陽』作品情報 | cinemacafe.net

(注意)
本エントリーは結末に触れている部分があるので、未見の方はご注意ください。


TOHOシネマズ宇都宮で観てきました。

アラスカの石油発掘現場で働くおっさんたちが、飛行機で帰ろうとしたら墜落してしまってオオカミに襲われたでござるというお話でしたが、頼るモノが何もないアラスカの山中で必死に生を掴み取ろうともがく姿やそれが叶わずにオオカミや大自然に命を食いちぎられていくさまはとてもグッときました。

本作のよかったところはそういった命が奪われる瞬間・終わる瞬間の映像がとても生々しく、そして高いクオリティで再現されているところでして、死の瞬間を切り取ってプレゼンするうまさに感心してしまいました。


ただ、常に命が奪われるかも知れないという状況にあるという割にはやや緊張感が欠けているように感じられる瞬間も多くあり、その点は少し残念に感じました。死の瞬間の描写はとてもうまいのですが、それ以外の部分についてはちょっと工夫に欠けていたのかも知れません。


唯一、どうしても受け入れがたいのは結末についてです。
正直この作品の結末というかオチにはちょっとがっかりした気持ちもあって、あれだけ一生懸命逃げてきたのに結局はオオカミたちの巣に向かって歩いてただけだったのか...という徒労感にぐったりしてしまったのです。結末に絶望した映画といわれて思い出すのは「ミスト」という作品ですが、あれほどではないけれど観終えて残った感情のベクトルは似たような感じかな....。


あれだけ苦労してがんばってきたのに、結局は遠ざかりたいと思っていたオオカミの巣に向かって歩いていただけだったという絶望の塊のような事実が告げられたときはホントにめまいがしそうなくらいに衝撃を受けました。努力がすべて報われて欲しいというのは望み過ぎでしょうが、でも敵から逃げようと7人の命を費やしてたどり着いた場所が敵の本陣だったという出来事がもたらす絶望の深さはあまりに辛すぎます。


それでもエンドロール後に流れるワンシーンがわずかな希望を残してくれたことだけは唯一の救いになっていると感じていて、あれがなかったら正直この作品に対する印象は大きく変わっていたかもしれません。


ラストでオオカミの巣にたどり着いてしまったオットウェイは、ナイフと小さなウィスキーのビンを武器にオオカミのボスと対峙するところで本編はおしまいとなり、そしてエンドロール後にボスオオカミが倒れているシーンが少し映ってそこで本当におしまいとなるのです。


明確な結末は描かれていませんが、おそらくオットウェイはボスオオカミと戦い、そして倒したのだろうと推測することは出来ます。ただし、その際にオットウェイがどの程度の傷を受けたのかとか、周りを囲んでいたオオカミたちがその後どういう行動をとったのかということは分かりません。


ただ、オットウェイは奇跡的にさほど傷を受けることなく済み、そしてボスオオカミを倒したことで周りの雑魚たちがビビッて逃げてくれたらもしかしたら彼は助かるかも知れないという希望は残ったわけです。それがたとえ万に一つしかないような可能性であったとしても「生きているかも知れない」という一縷の望みが最後の最後に救いとして与えられたことがとてもうれしく感じました*1


(関連リンク)


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*1:最初にエンドロール後のシーンを見た時は「こんなシーンいらねえ」と思ったんですが、しばらく考えてたらこの結論に達しました。いろいろ考えて見ないと分からないこともあるんですねえ...。