「キャリー」見たよ

キャリー〈特別編〉 [DVD]

キャリー〈特別編〉 [DVD]

ユーイン・ハイスクールに通う女子高生・キャリーは、気弱な内気な性格と冴えない容姿から、いつもクラスメイトたちからいじめを受けていた。ある日の体育の授業後、彼女はシャワーを浴びている最中に初潮を経験する。熱狂的なキリスト教信者である母・マーガレットからは月経についての話を何も聞かされていなかった彼女はパニックを起こす。

キャリー (1976年の映画) - Wikipedia

(注意)
本エントリーは作品の内容に触れている部分があるので、未見の方はご注意ください


TOHOシネマズ宇都宮にて。午前十時の映画祭にて鑑賞(10本目)


何の映画だったかはまったくおぼえていないのですが、主人公たちがものすごい高いところを走るトロッコに乗っていて何かから逃げているのですが「やっと逃げ切った...」と思ってトロッコの行く先を見たらレールが途中で途切れているのが見える....というシーンを思い出すことがあります。レールの上しか走れない乗り物に乗っているのにそのレールが途切れてしまっているということはもうそこから先は落ちるしかないわけで、つまりはいまいるその場所が既に安全地帯ではないこととちょっと先の未来の死を約束されていることを意味しています。
映画の内容を忘れた今でもあの途切れているところが見えた瞬間の絶望的な気分だけは忘れられずにいます。


本作「キャリー」は偏執で狂信的な母親に育てられた内気な女の子キャリーのお話なのですが、親のゆがんだ信仰心が子どもを不幸にする話に弱いわたしはかなり初期の段階でキャリーに感情移入してしまいました。言い換えれば序盤からキャリーの気持ちに同化しながら彼女の行く末に熱いまなざしを送っていたわけですが、基本的にとても分かりやすい話なだけにあるところでこの作品の結末がぼんやりと見えてしまったんです。
キャリーは決して幸せにならない結末が....。


その瞬間にわきあがってきた感情というのが、最初に書いたレールの途切れた部分を見つけた瞬間の絶望的な気分であり、そこからはもう観ているのがつらくてつらくて半分泣きながら鑑賞してました。途中いくつかほっこりとするシーンがあるのですが、そこは涙目でにやにやするというなかなか目も当てられない顔になってしまったことは反省しています。


結局わたしの予想以上にひどい結末になってしまい、ラストでは涙も枯れて茫然としてしまったわけですが、終始感情を大きく揺さぶられたせいか、ものすごくこの作品のことが好きになってしまいました。
出来ればもう一度スクリーンで観たかったです。


で、話は明後日の方向に変わるのですが、この映画を観ながらちょっと思ったことがあったんでそのことを書いておきたいんですが、今回この映画を観た時にとにかくいろんなシーンでゲラゲラ笑う人がいたんですよ。キャリーがお母さんに怒られて物置に入れられるシーンや血を集めるシーン、あとはキャリー最大の見せ場であるプロムのあのシーンなど、もう笑ってないところを数えた方が早いんじゃないかっていうくらいもう笑いっぱなしだったんです。
上でも書いたとおり、わたしはこの作品に対してものすごく感情移入してしまいめそめそしながら観たわけですが、そんなふうに思い入れいっぱいで観ているときにあれだけ笑われるとそれがもう耳触りでしょうがないんですよ...。率直に言えば腹が立ってんです。


ただね。全部はともかく、一部のシーンについては笑いたい気持ちが分からなくもないんですよ。
思わず「え?」って言いたくなる絵や演出もありましたし、そこはもう好き嫌いというか笑いのツボの違いだからしょうがないと割り切ったのですが、でもさすがにあれだけあちこちで笑われると映画を観てわいてくる自分の素直な感情がそがれてしまうようで本当につらかったです。


でも映画館で映画を観るということは、こういうリスクも覚悟しないといけないんだよな...ということをひさしぶりに思い知らされた出来事でした。