誘拐された少女からの通報を受けた911緊急通報指令室のオペレーターが、声だけを頼りに少女を救出しようと奮闘する姿を描いたサスペンススリラー。ベテランオペレーターのジョーダンは、ある女性からの不法侵入者の通報が悲劇的な結末に終わり、悲嘆に暮れていた。自分の人生を見直そうと思案していたジョーダンだったが、そんな折、連続殺人鬼に誘拐された少女ケイシーが、車のトランクから命からがら911に電話をかけてくる。ジョーダンは、これまでの経験と知識、自分の能力の限りを尽くし、電話の声だけを頼りに少女の救出にあたる。
ザ・コール 緊急通報指令室 : 作品情報 - 映画.com
(注意) 作品の内容に触れている部分があるので未見の方はご注意ください。
宇都宮ヒカリ座で観てきました。
本作は誘拐されて車のトランクに閉じ込められた少女が、偶然もっていた友だちの携帯を使って911に通報して助けを求めるんだけど...というお話なんですが、最初から最後まで緊張感の途切れるところのないとてもよい作品でした。「誘拐される」という非日常をより際立たせるために、ふだんの日常を描く部分が徹底的にリアルに描かれていたのがとても印象的でした。一番記憶に残っているのは犯人の自宅に警察が突入した瞬間のシーンでして、このシーンで見せた「日常が破壊される瞬間」があまりに見事でした。
あそこは本当にすばらしかったです。
さらに結末がなかなか読めないうえに、まったく予想外の方向にきっちりと着地して見せたラストもすごくよかったしわたしはたいへん気に入りました。賛否はあるようですが、わたしは大好きですし、未見の人にはぜひおすすめしたいです。
さて。
わたしの住んでいる宇都宮市は人口50万人の中核都市であり、いわゆる政令指定都市と比べると人口規模は大きく見劣りします。
ですがこの規模の街でも昼夜問わず救急車やパトカーが走っている音を耳にするし、その度にこの町のどこかでなにかが起きて消防署なり警察に通報がされているのだろうと思うと、その問い合わせや助けを求める声の数の膨大さにめまいを起こしそうになります。
ましてもっと大きな都市になればその問い合わせたるやものすごい数になるだろうし、内容もものすごい厳しいものからしょうもないものまでよりどりみどりになることは想像に難くありません。
そんなふうに日常を裏側から支えてくれている人たちのがんばりやすごさを知る機会といえば警察24時みたいなドキュメンタリー(風?)の番組が思いつくのですが、本作もまたそういった裏側の人たちの等身大のたいへんさをきっちりと描いていてその点もとてもおもしろかったです。寂しさをまぎらわせるだけのしょうもない電話と命がかかっているようなクリティカルな電話が区別なくかかってきて、出て話を聞いてみないとどちらなのかわからないというのはとてもしんどいなとしみじみと実感しました。そして自分が対応した案件がどうなったのか、その結果を知ることはほとんどないというエピソードはすごく忘れがたく感じました。
公式サイトはこちら