「ステキな金縛り」見たよ


弁護士のエミ(深津絵里)は殺人罪で起訴された男の弁護を引き受ける。男は「犯行時刻に金縛りに遭遇していた」とのアリバイを主張。エミは男の上にのしかかっていた落ち武者の幽霊を見つけ出し、無実を証明するため、幽霊、真犯人、検事との法廷バトルを繰り広げる――。三谷幸喜が10年以上温めていた構想を豪華キャストで実現。

『ステキな金縛り』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮で観てきました。


「マジックアワー」以来、3年ぶりとなる三谷さんの監督作品でしたがとてもおもしろかったです。
上映時間が140分越えと長尺だったために最後の方はお尻が痛くてたまりませんでしたが、難といえばそのくらいでして、笑えるシーンがまんさいの楽しい作品でした。おもしろかったです。


殺人事件のアリバイを証言するために幽霊を法廷に連れ出すというお話。


本作のおもしろいところは、裁判という客観的な事実を提示して物事を判断しようとする場に「人によって見えたり見えなかったりする幽霊」を証人として連れ出すというそのアイディアのユニークさです。意外性という点でもたしかに笑いをさそえるすばらしいアイディアだと思うのですが、そういった奇をてらった点だけではなく、「どんなものであっても人によって見え方やとらえ方は異なる」ということをあらわしているようですごくおもしろかったんですよね。

物事は立場や見方によって見え方は大きく変わるということは常日頃から肝に銘じていることなんですが、わかっていると思い込んでいるけどいつも自分自身には徹底できていません。自分の見方だけが正しいと思い込んでしまってばかりいます。


本作では幽霊に証言をしてもらい、それをいろんな人に聞いてもらうために、エミはあの手この手を使ってたくさんの工夫を考えます。
笛ラムネを吹く回数でYES/NOを答えさせると言ったくだらないものから、磁力を使って幽霊の姿を可視化するという科学的な方法までいろいろと工夫をするのです。


幽霊の言葉はそのままでは聴こえないし伝わらないからエミはあれやこれやといろんな工夫をしますが、でもこれって本当は日常的なコミュニケーションにおいても必要な努力なんだろうなと思うんですよね。
ところが、同じ日本人同士だと下手に言葉が通じてしまうので伝えたいことを言葉にして投げかけただけで伝えたつもりになってしまうのです。本当はそれだと伝えたいことの半分も相手には伝わってないのに...。


だれもが立場も見方も違うのだから伝えたいことがあっても伝わらない部分があることはしょうがないけれど、でも考えていることを他人に伝えることって本当はすごく大変なんだということをこの作品を観ながら思い出させられました。



あとは、この「幽霊が人によって見えたり見えなかったりする」という部分についても、見える人と見えない人を分ける境目が作品の中でちゃんと定義されていてそれはすごくおもしろいなと。ただ、この基準自体は微妙にあいまいなので「笑いをとるために適当に考えたのかな」なんて思っていたのですが、ラストでこの設定にはっきりとした意味があたえられたところにいたく感激しました。

観終えてから考えればそれなりにわかりやすい伏線なんですが、正直観ている時は全然気づきませんでした。


と、いろいろと思ったことを書いちゃいましたが、結局のところ本作に魅力を与えているいちばんの要因は深津絵里さんのかわいらしさですよね。笑っても拗ねても怒っても、どの表情もびっくりするくらい魅力的なんですよ。超キュート。




小学生女子のような天真爛漫な笑顔や振る舞いを見せたかと思えば、ふいに考え込んでとんでもないアイディアをさらりと口にしたりさらにはそれを行動に移したりと、彼女の一挙手一投足をながめているだけで飽きないしワクワクしてくるんですよね。


クルクルと変わる茶目っ気たっぷりの彼女の表情を観られただけでもこの映画を観てよかったなと心から思えました。
すてきすぎる!

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