「荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論」読んだよ

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)

荒木飛呂彦がこよなく愛するホラー作品の数々は、『ジョジョの奇妙な冒険』をはじめ、自身が描いた漫画作品へも大きな影響を与えている。本書では、自身の創作との関係も交えながら、時には作家、そして時には絵描きの視点から作品を分析し、独自のホラー映画論を展開する。巻頭には「荒木飛呂彦が選ぶホラー映画Best20」も収録。ホラー映画には一家言ある著者の、一九七〇年代以降のモダンホラー映画を題材とした偏愛的映画論。

http://www.amazon.co.jp/dp/4087205959

ジョジョの奇妙な冒険」と言えば、世間に名の知れた傑作というのが多くの人の認識だと思います。
わたしも連載当時のジャンプは毎週欠かさず読んでいましたが、実はジョジョはまったく読んだことがありませんでした。あの絵があまり好きではなかったというのが理由だったと思いますが、リアルタイムで稀代の傑作を読む機会をふいにしたとも言えるわけで、当時を思い出すといつも「あれはもったいないことしたなー」という悔恨の念がふつふつとわいてきます。


さて。
そんなわけで作品にはさほど思い入れのないわたしですが、著者である荒木先生がご自身がとても好きだというホラー映画について本を書いたと聞いてとても興味をもちました。ホラー映画はあまり観たことがないのですが、どういった作品が好きでどういった分析をするのかとても興味がわいてきたので、本屋にダッシュして2秒で購入を決めました。


本書を読んでいいなーと感じたのは、本書の中にはとにかくたくさんの知らない作品が出てきて、そしてそのどれに対しても荒木先生はものすごくおもしろそうに紹介されているという点です。


話は急に変わりますが、わたしが常日頃から感じている劣等感のひとつに「心の底から好きと言えるものが何一つない」というものがあります。「本を読む」ことは好きだし「映画を観る」ことも好きです。さらに「プログラムを作る」のも好きですし「走る」ことも「ブログを書く」ことも大好きです。


でも、わたしはそのいずれの「好き」もものすごくライトな好きにしかなることはできなくて、決してその対象を掘り下げることはしません。ただ目の前にあるものを消費するだけの好きなのです。だからわたしの好きは決して積み重ねられることはないし、その対象について語ることはなにもできないのです。
先日借りて読んだ「Bootleg」もそうでしたが、なにかひとつでも誰にも負けない好きがある人が書いた文章というのは読んでいて本当に楽しいんですよ。そして荒木先生の文章もまたそういった好きを掘り下げられる人の文章でして、読んでいてすごく楽しいのです。


もちろんこの文章にのせられて「おれもホラー映画観るぜ!」と息巻いたところで、もともとホラー映画が苦手なわたしは早々にビビッて後悔するのがオチなんでしょうが、それでもわたしは本書で紹介された映画を観てみたいと心から思えました。



サンゲリア」と「ホステル」「アイデンティティー」は観ます!