「白夜」見たよ


別れた恋人と再会するため、日本を飛び出し、フランスへやって来た相沢朋子(吉瀬美智子)と、バックパッカーとして海外を放浪する木島立夫(眞木大輔)は、リヨンの橋の上で偶然出会った。久しぶりに出会った日本人を懐かしいと思い、立夫は朋子に声をかける。そして、立夫の言葉によって、朋子は別れた恋人に対する一方的な自分の思いや、勢いでここまで来てしまった自分を冷静に見つめる。立夫に不信感を抱いていた朋子だったが、不器用ながらも自分のことを一生懸命考えてくれる彼の優しさに惹かれていく…。二人はリヨンの暮れゆく街を歩きながら、別れた恋人のことや互いの仕事、家族のことなどについて語り合う。だが、立夫はその日の夜22時に出発するパリ行きの電車に乗らなければ、明日の帰国に間に合わない。日本から遠く離れたフランス・リヨンで近づき始めた2人の心だったが――。人気グループ「EXILE」のパフォーマーMAKIDAIが俳優・眞木大輔として挑んだ主演作。

『白夜』作品情報 | cinemacafe.net

宇都宮ヒカリ座にて。


目の前にある地雷は全部踏んでやる!!
と、まあ、そこまで勢い込んで生きているわけではありませんが、「とてもおもしろいと話題になった作品」と「死ぬほどつまらないと話題になった作品」であれば、積極的に後者を観たいと思っています。何でそう思うのか考えたことがあるのですが、おもしろい作品を楽しむにはなにも努力がいりませんが、つまらない作品を楽しむためにはそれがなぜつまらないのかを考えることが必要だからです。
おもしろい作品だってそのおもしろさの理由をつきつめて考えたらそれはそれで楽しいと思うのですが、でもやっぱりつまらなさを突き詰めて考える方がわたしには楽しいと感じるんですよね。


わたしはプログラマーなのでプログラムの例になってしまうのですが、プログラムにはパターンと名のつくものが二つあり、これを学ぶことでよりよいプログラムを作ることが出来るといわれているものがあります。


ひとつめのパターンは、「こういう事例のときはこういう設計をすべき」という方向性を示すために作られたデザインパターンです。つまり何かを作ろうと思ったときにそのパターンにしたがって設計をすることで再利用性や保守性の高いプログラムを作るための参考になるパターンです。これは成功した事例からそのエッセンスを抽出して、それを汎化した上でまとめたものになります。


もうひとつはアンチパターンというもので、これはその名のとおり「こういうことはやってはいけない」という事例集です。とは言ってもデザインパターンのような具体的な指針ではなく、こういうことはやらない方がいいよという事例を集めただけのものであることがほとんどです。これはデザインパターンとは逆に、失敗した事例からエッセンスを抽出してそれを一般化したものになります。


デザインパターンについては5年位前にひととおり勉強したのですが、やはり実践で使わないことにはなかなか身につかなくて今では忘れてしまっているものがほとんどです。対してアンチパターンについては関連する本を一読しただけなのですが、パターンを生み出したという失敗した事例が具体的な事実であるためかとても理解しやすい上に覚えやすくて今でも何かを作るときの指針としてとても役に立っています。


これを映画にそのまま当てはめるのは無理があるのですが、わたしは成功から何かを学ぶよりも失敗から学ぶことの方がとても多いと思っています。仕事では特にそうなのですが、他人がうまく何かを成し遂げた話というのは自分もやってやるぞと気持ちを鼓舞することには役に立ちますがそれ以上の意味は持ちません。対して失敗した事例というのはやってはいけないことを具体的に学ぶことが出来ると思うんですよね。
そういう性格が災いして、ダメと言われるものほど惹かれてしまうのかも知れません。


なんて、単純に地雷作品の方が話のネタにしやすいっていうのが一番大きいんですけどね(笑)


話が映画からずれてしまったので元に戻しますが、本作は公開からかなり時間が経っているために作品に関する情報はたくさん出ていますし、元々宇都宮での公開もなかったのでネタバレ込みでいろいろと調べてまわっていたのですが、多くの感想は作品を酷評するものばかりでまさに「地雷作品」に分類される作品と見て間違いないと確信しました。そんなすごい作品が宇都宮でも公開されたわけですし、何より、人によっては今年のワースト作品として挙げている人もいるくらいの強烈な作品ということでこれはもう観るしかないと喜び勇んでいってきました。


前振りが超長かったのですが、結構勢い込んで行ったのですが意外におもしろくて地雷というほどではありませんでした。
たしかに異様にぶれるカメラで酔いそうになったり、主演二人の棒読み・棒演技にがっかりしたりしたわけですが、でもわたしはこれ結構好きです。他の人にはまったくお奨め出来ませんが、撮りたい絵があってそれを形にしているんじゃないかと思わせる映像の組み合わせは見ていて心地よかったし、ストーリーが壊滅的にどうしようもないことや演出がいまいちだということを差し引いてもすごく眺めているのが楽しい作品でした。長回しのシーンとかすごくよかったので、時間があればぜひもう一度観たいです。


ちなみにものすごくどうでもよい話ですが、昔とある映画の舞台挨拶でMAKIDAIを観たことがあります。
今は無きQ-AXシネマで観た「渋谷区円山町」という地味な映画でしたが、当時から彼はものすごい人気で彼が出てくるや場内はすごい声援で埋め尽くされてしまっていたことを覚えています。そういえば仲里依紗も舞台挨拶にきていたのですが、当時は「時をかける少女」の声優をやったことがあるということくらいしか知らなくてどういうことを話していたのかあまり印象に残っていないのです。
あれ以降の彼女の活躍を考えると、もっとちゃんと彼女の立ち振る舞いやトークを聞いておくんだったととても後悔しています。


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