「桜、ふたたびの加奈子」見たよ


桜の季節。容子(広末涼子)は、小学校入学を前にした娘・加奈子を不慮の事故で亡くしてしまう。自分を責め、思いつめた容子は娘の部屋で自殺を図るが、あわやのところで一命をとりとめる。そしてその日から不思議なことを言い始める。「加奈子はここにいる。」夫の信樹(稲垣吾郎)は、現実を受け入れ、前を向こうとしない容子に苛立ちを募らせる。「加奈子は、もういないんだ。」そう言い聞かせるが、容子は変わらなかった。ある日、容子は正美(福田麻由子)という女子高生に出会う。まだ高校生ながら、シングルマザーとして子供を産む決意をしていた正美。そんな正美をみて容子の一途な思いが起こした行動は、やがて思いがけない出会いへと導かれていくのだった――。

『桜、ふたたびの加奈子』作品情報 | cinemacafe.net


(注意) ネタバレ込の感想なので未見の方はご注意ください。


MOVIX宇都宮で観てきました。


わたしは邦画も洋画も分け隔てなく大好きだと自認していますが、あえて選ぶとすれば邦画を好んでよく観ています。
映画を観始めた当初は字幕を読むのがめんどくさいというネガティブな理由から邦画を選んでいた時期もありましたが、最近は日本が舞台だとロケ地に思いをはせられるからというポジティブな理由で邦画を積極的に観るようにしています。あとは地雷映画が大好きなので、自然と地雷の多い邦画をえr(以下略)。

そんなロケ地好きのわたしですが、一番好きなロケ地を挙げろと言われたら2秒と迷わず足利市を挙げます。


足利市はわりとロケで使われることが多いのですが、ロケ地として選ばれている理由としては、都心からもわりと近くて自然も豊富、そして地方都市らしさや印象的な風景がたくさんあるところがよいのだと思います。じつはわたしの大好きな作品は足利市でロケをした作品ばかりでして、足利オールロケの作品はどれもすごく気に入っています。中でもとりわけ好きなのが「虹の女神」や「きみに届け」でして、この作品を観て以来、わたしが住みたい町ランキング1位はずっと足利市です。


さて。

本作「桜、ふたたびの加奈子」は予告すら観たことがなくて正直スルーする気満々だったのですが、公開日直前にロケがほぼすべて足利市ということを知ってしまい、これは見ねばとすぐに観に行ってきました。


まず本作の良し悪しについて言及する前に、この作品が好きか嫌いかという点について述べさせていただくとわたしの好きなジャンルの話ではありませんでした。詳しくは後述しますが、こういうリアリティもなければ説得力のない話は好きではありません。前半はわりとよかったのですが、話が進むにつれてちょっとこれはないなあ...という気持ちがすごくつよくなってしまいました。


また、ふだんは音楽の良し悪しについてはまったく無頓着な方だと思うのですが、この作品はちょっと聴いていられないと感じるところが多かったです。
ストーリーの抑揚にまったくそぐわず、ただただ不穏さを醸し出すだけのおどろおどろしいバックミュージックを流すのが本当に意図した演出だったのか疑問でなりません。本当にあれでよかったのでしょうか?

わたしにはとてもそうは思えないのです。
あんな音楽ではただ恐怖を煽るだけのホラー映画にしか見えなくなってしまうのですが、本作が伝えたいことというのはそういう切り口の内容ではありません。そういった意味でこの作品における音楽の使い方は大失敗だったと思うし、正直おいしいカレーにソースをぶちまけられたような、いい素材をうまく活かさずにむしろ台無しにしているような気がして不快に感じるときも多くありました。


さらにラストで明かされる事実もすごいなんかいい話っぽさを作り出そうとしているようで神経を逆なでされたし、全体的にこれは自分に合わない作品だったとしか思えませんでした。


唯一見どころがあるとすれば、子を失った両親の立ち振る舞いを見事に演じた広末、稲垣両名や、若くしてシングルマザーにならなければならなくなった少女を演じた福田さんの演技でしょうか。とくに子どもを失った悲しみの深さを伝えきった広末さんの演技には終始圧倒されてしまいました。「おくりびと」のときもすごくよかったのですが、それ以上にこの作品における彼女の演技というのはすばらしく、まさに彼女の一挙手一投足を観るためにみても元は取れるんじゃないかと思うくらいに真に迫っていました。


まったくもって好きな内容ではないし、嫌いなところは多いけれど映画としてはすごくいい作品だと思います。


公式サイトはこちら