上半期トップ10
2013年の上半期は80本の作品を鑑賞しました。
自分でも去年よりはだいぶ映画を観てないという自覚はありましたが、本数だけを見ると思っていたほど観ていなかったわけではないようです。昨年の上半期の鑑賞本数は93本でしたのでだいぶ減ってはいますけど。
さて。
そんな鑑賞した80作品の中からおもしろかった作品を10本選びました。
ただし、それぞれの作品に対して感じている「好き」のベクトルがまったく違っていて順番は付けられないのでとりあえず順番は付けないでおきます。並び順は鑑賞した順番です。
1. 渾身 KON-SHIN
隠岐の島で20年に一度行われる古典大相撲が開かれた一日を描いた作品でしたが、大一番にかける意気込みや緊張感をわがことのように感じられるたいへんすばらしい作品でした。地区の名誉を一身に背負い、正三大関と呼ばれる複数の地区を代表する大関としてトリの一番で戦うその瞬間に向けてじょじょに高まる高揚感は、映画に限らずここ数年味わったことがないほどのものでした。
「渾身 KON-SHIN」見たよ - 子持ちししゃもといっしょ
2. ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日
だから観ている最中は不可解な点や理解できない点があってもまったく気にならなかったし、物語のラストでこの作品の本当の姿が明かされたときにはわからなかった部分がほどけるように理解できるようになる瞬間の心地よさを思う存分味わうことができました。これは単なる非現実的で不思議なお話ではなく、つらく過酷な現実を受け入れるためにすがたを変えた物語であり、童話や昔話、神話のような長く語り継がれる物語なんだなと見終えて感じました。
「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」見たよ - 子持ちししゃもといっしょ
3. ムーンライズ・キングダム
とりわけ印象的なのは冒頭のスージーの家の中を映すシーンでして、ここはディテールまで含めて完璧なシーンです。足りないモノはなにもないし、余計なモノもなにもない。作品の冒頭でこんな完全性を目の当たりにしてしまうと、この作品への信頼は揺るぎないものになり、そして期待は上限なしに高まってしまいます。
そして最後までその高い期待をひとつも裏切ることなく、物語は完成したように感じたし、パーフェクトと言えるおもしろさでした。
「ムーンライズ・キングダム」見たよ - 子持ちししゃもといっしょ
4. ゼロ・ダーク・サーティ
にっくきテロリストたちのボスであるビンラディンを捕獲するか、もしくはぶっ殺しちまおうぜ!とCIAを始めとしたアメリカの人たちが鼻息荒く探し出そうとするお話でしたが、終始緊張感に包まれたとてもよい作品でした。
「ゼロ・ダーク・サーティ」見たよ - 子持ちししゃもといっしょ
5. 横道世之介
観ただけでこんなに幸せな気持ちになれるのに、この映画のことがすごく好きだと思っているのに、その理由を言葉にしようとするとどの言葉も自分のこの気持ちをうまく表現できないのです。好きを言葉にできないことは初めてではありませんが、ここまでもどかしく感じるくらいに何も表現できないこともめずらしいです。映画を観た帰り道はずっとこの作品のよかった点を言葉に置き換えたくてそればかり考えながら帰ってきました。
「横道世之介」見たよ - 子持ちししゃもといっしょ
6. みなさん、さようなら
人間は他人から起こされたアクションでは決して変われません。自分が心から納得しないと変わらないことをわたしは知っています。もちろん子どもが納得しなくとも視野のまだ狭い子どもが目先の選択で失敗しないようにアドバイスするのは親としての責任であるとは思いますが、一方では本質的な部分が変えられないのであれば結局アドバイスになっていないし意味がないのではないかという気もします。
そう考えると、本来親が子どもに対してできる一番大事なことというのは、何かを教えることではなくて本人が納得できるまでやらせてみてそれを見守ることなんだろうなと思うのです。
「みなさん、さようなら」見たよ - 子持ちししゃもといっしょ
7. ペタルダンス
常に起きている小さな気付きややり取りを丁寧に描いたとてもよい作品でした。
「自然な演技」というにはあまりに不自然な間の作りかたや、「実在しそうだけどでもやはりしなそうな微妙なキャラクター」などどこか歪な印象が残ったのですが、そういった違和感もふくめてとても惹きつけられる作品でした。なんでこんなにこの作品が好きなんだろうと不思議でならなかったのですが、先日読んだ本に「好きには理由がない」と書かれていたことを思い出して考えるのを止めました。好きだから好きでいいです。
「ペタルダンス」見たよ - 子持ちししゃもといっしょ
10. さよなら渓谷
決して耳触りのよい話ではないし観終えてすっきりするような作品ではないのですが、人の心のとらえどころのなさ、不思議さを感じることのできるとてもよい作品でした。どれだけ異常に見えることであってもそこに至るプロセスを知ることでまったく見え方は変わってくるということや、逆に言えばどんなことでもそこに到達するまでのプロセスを知らずに非難することはできないのではないかということが丁寧に描かれていました。
いろいろと印象深い作品ではありますが、性犯罪に対する男性の認識の甘さを鋭く指摘するシーンが一番印象に残ってます。
できれば妻といっしょにもう一度観てみたいです。
(鑑賞日)2013/06/25
以下、一覧表でまとめます。
No | タイトル | 鑑賞日(感想リンク) |
---|---|---|
1 | 渾身 KON-SHIN | 2013年1月25日 |
2 | ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 | 2013年1月30日 |
3 | ムーンライズ・キングダム | 2013年2月8日 |
4 | ゼロ・ダーク・サーティ | 2013年2月23日 |
5 | 横道世之介 | 2012年3月7日 |
6 | みなさん、さようなら | 2013年3月20日 |
7 | ペタルダンス | 2013年5月17日 |
8 | 愛、アムール | 2013年5月25日 |
9 | 俺はまだ本気出してないだけ | 2013年6月15日 |
10 | さよなら渓谷 | 2013年6月25日 |
今年は邦画がすごくよい感じです。
いろんな意味でおすすめしたい作品
複雑な事情があるので一言ではとても言えないのですが、とりあえずおすすめしたい作品をいくつか選んでみました。
きいろいゾウ
とりあえずすごいのが観られるから観てみろ!と言いたくなる作品。
アイドルの握手会に参加してたつもりがなぜかアントニオ猪木の握手会になっていてさらに握手じゃなくてビンタされたみたいな衝撃を受けました。邦画が嫌いじゃなければとりあえず観て欲しいです。
ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー
上半期唯一の炎上案件。
映画としての出来はともかく、ネタとして楽しむ分にはとても満足できる作品でした。3人ほど映画を観て感想をメールやリプライでいただいたのですが、ほとんどは「DVDでレンタルになったら観ます!」というリプライばかりだったことをよく覚えてます。ぜひその方々にはDVDでもいいので観ていただいて感想を教えて欲しいです。
コードネーム:ジャッカル
「伝説の殺し屋ジャッカルとトップスターのスリリングな誘拐劇を描いたラブ・サスペンス」という分かるようで分からない売り文句に惹かれて観に行ったのでs(以下略)
最後に
栃木県内で単館系作品を観ることはたいへんむずかしく、またそういった環境に身を置いているためかわたし自身の好みもシネコン寄りになってきたために鑑賞作品は邦画+公開規模の大きな作品に偏ってしまいました。観たい作品が栃木で上映されないことに慣れてしまい、さらに観たい作品を観れないことにも慣れてきていましたが、公開時期からはやや遅れるもののフォーラム那須塩原とヒカリ座が拾って上映してくれることが増えてきました。この両館のがんばりにこたえるべく、なるべくこの二つの映画館に足を運びたいなと思っているところです。
フォーラム那須塩原バンザイ!ヒカリ座バンザイ!(おしまい)
(おまけ)鑑賞した作品のまとめ
月単位でのまとめエントリーへのリンクです。
以下のリンク先では毎月観た作品の一覧とその中でもおもしろかった作品をまとめています。
(2013年毎月のまとめ)