「その所有者は世界を統べる」と言う、運命の宝物・クリムゾンハート・オブ・クレオパトラ。収蔵されているのは、超巨大要塞型金庫“ナヴァロンの箱舟”。何人たりとも破れない、世界最強の鉄壁セキュリティ…?上等じゃねえか。俺の名は、ルパン三世。今回の獲物は「絶対不可能」。
『ルパン三世』作品情報 | cinemacafe.net
「これは...(お察し)」
初めてこの作品の予告を観たときに、わたしの中にある地雷センサーが高らかに鳴り響きました。
地雷映画であることがかなりの確度が的中しそうにみえるパンチの効いた予告を観ながら「やっぱり玉山鉄二は最高にかっこいいな」とぜんぜん関係のないことに思いを馳せてしまいました。
玉鉄の件はともかく、予告を観た人の多くも同じようにこの作品から地雷臭をかぎとったのか、劇場で予告がかかり始めたあたりから「ルパンヤバそう」というツイートをちらほらと見かけるようになり、気付けばあっという間に当たり前のように地雷作品扱いされるようになっていました。
まだ上映が始まっていないのに(笑)
そして、公開直前に超映画批評「ルパン三世」3点(100点満点中) という記事がネット上で注目を浴びたことで「ルパンは地雷」という空気は決定的なものになりました。
まだ上映が始まっていないのに...。
そんなわけで観る前からかなりハードルが低い状態で鑑賞したのですが、そのハードルの低さが功を奏したのか予告を観てかくごしていたほどおもしろくない作品ではなかったし、個人的にはじゅうぶん及第点に達していました。他の人におすすめしたくなるような内容ではありませんでしたがでも悪くはなかったです。
さて。
そんなわけで個人的には概ね満足したのですが、あえて批判するとしたら大きく2点あるのかなと思っています。
ひとつはストーリーが決定的におもしろくない点。
そしてもうひとつはルパン三世という作品らしさに欠ける点です。
まずストーリーについてですが、全体をとおしてそこそこ抑揚は付いているもののいまいち興味をそそる内容ではありませんでした。冒頭のつかみはよかったものの、振りかえればよかったのは最初の9分くらいであとは盛り下がる一方でした*1。
そしてもうひとつの「ルパンらしさに欠ける」という点ですが、これはなんていうか有名なアニメーションを実写化した場合には避けられない批判ではないかなと思うくらいむずかしい問題です。
たとえば、作中では小栗くんは飄々としたルパンっぽさをかもしだしていたし、玉鉄次元はもう最高にイケてたし、綾野くんの五右衛門も雰囲気が出ててよかったしいずれも「ルパン作品の登場人物っぽいキャラクター」ではあるのですが、でもあくまで「それっぽい」だけであってそのものではないんですよね。
ちなみにこんなふうに感じてしまう理由としてはアニメと実写はどうしても別物にならざるを得ないという点と、オリジナルがあるとそちらを正解としてとらえてしまうがゆえにそのオリジナルを超えることができないという点にあると思います。とくに後者が大きくて、つまり「原作」を正解と思ってしまうと実写化した方はどうがんばってもその正解以上のものにはならないし、一度そういう見方をしてしまうと作品そのものの良し悪しを判断するというよりも、「オリジナルとの違い」を減点方式で判断してしまうようになります。
とにかく有名なアニメの実写化はむずかしいってことですね。
ちなみに意外な出演者としてオンリー・ゴッドに出ていたあの神々しいおっさんが出ていたのはびっくりしました。
おそらく、この作品を「ルパン三世」シリーズとして観た人ほどイライラを感じていると思います。
わたしも最初はそうでした。
ただ、そういったシリーズ作品ではなくて「ルパンの登場人物っぽい人たちが世界のあちこちで繰り広げる冒険譚」と思えばそんなに腹も立ちませんし、たとえば「なんでフジコが黒木メイサなんだよ...!!」とボルケーノ大噴火することもなくなります。「ルパン三世」と銘打たれているためにそれを期待するな!と言われても困るかも知れませんが、「ルパン三世」シリーズなんだということは一度忘れて観に行くと案外楽しめるかも知れません。
@TOHOシネマズ宇都宮で鑑賞
公式サイトはこちら
*1:個人的には次元が出てくるたびにおお!と興奮してましたが