元アイドル

元アイドル! (新潮文庫)

元アイドル! (新潮文庫)

アイドル――。男は熱い視線と声援を送り、女はその華やかさに憧れる。しかし、その実態は非常に過酷な職業なのだった! わずかな睡眠時間、わりに合わぬ賃金。一線を飛びこえてしまうファン、金が飛び交う新人賞レース。当代きってのインタヴュアーである吉田豪が、激動の少女時代を生き抜き、現在も輝きを失わない十六人に鋭く迫った。今だから話せる、驚きのエピソードが満載。

http://www.shinchosha.co.jp/book/134871/

インタビュー対象のアイドルのほとんどが私よりも10歳ほど年上でして、正直リアルタイムで見ていた人というのはさほどいません。
そういう意味ではあまり思い入れのあるアイドルの話が読めるとかそういう面白さはなかったのですが、でも10代の多感な時期を「アイドル」として過ごした人たちの当時の裏話はものすごくおもしろくて、ここまで話していいのかと不安になりながらもあっという間に読みきってしまいました。
あまりにも本の世界に没入にしてしまったために、歯医者で自分が呼ばれているのにも気づかなかったほどでした。いったい何をそんなに真剣に読んでるんだろう...とか思われただろうなあ。すごい恥ずかしいけれどでもそのくらい面白かったのです。


本書の面白さを作り上げているのは、インタビューにこたえている元アイドルの人たちの話の面白さ...というのは当然あるのですが、でもそれ以上にインタビューアーの吉田さんの力がものすごく大きいと思うのです。
事前に調べたであろう彼女たちに関する並々ならぬ知識の量と、共感を示しながら相手からどんどん話を引き出していく話術の巧みさ。会話をしている様子を直接映像や音声で見たり聞いたりしているわけでもないのに、まるで二人の顔を見ながら会話を傍聴していたような、まるでその場の空気さえも文字におさめてしまったような不思議な空気感を感じてしまいます。


話の面白さ+その場にいるような臨場感。これこそが本書の魅力だと言えます。


私はかわいい女の子が大好きな割にアイドルというのが結構苦手だったのですが、本書を読んで何となくその理由がわかったような気がしました。


あと5年くらい経ったら、夏川純Perfumeにもこういうインタビューやって欲しいなあ。
多少高くても絶対に買うよ!!