「底辺女子高生」読んだよ

底辺女子高生 (幻冬舎文庫)

底辺女子高生 (幻冬舎文庫)

「本当の私」なんて探してもいません。みっともなくもがいてる日々こそが、振り返れば青春なんです―。「底辺」な生活から脱出するため家出した高校二年の春。盛り下がりまくりの地味な学祭。「下宿内恋愛禁止」の厳粛なる掟。保健室の常連たち。出席時数が足りなくて、皆から遅れた一人きりの卒業式。最注目の作家によるホロ苦青春エッセイ。

http://www.amazon.co.jp/dp/4344408322

本書は、豊島さんが自らが学校生活におけるヒエラルキーの底辺にいることに悩み苦しんだ高校時代をつづったエッセイなのですが、要所要所に秋田らしい空気がにじみ出ていてすごく共感をおぼえるとともに、地域の違いや年代の違い、そして性別の違いが生む差異も興味深くて非常におもしろかったです。
豊島さんの住んでいた雄勝町山形県との県境近くにあるくらい県の南部の山間部なのですが、私は県の中央よりも北部の海沿いにある男鹿市に住んでいました。同じ県内でも当然その土地ごとに空気や風習はとても違っているのでその差異を感じつつ、それでも秋田市を中心に作り上げられている階層構造の中ではほぼ同じ位置にしていることによる似ているという感覚をつよく実感しました。


本書の一番の特徴は青春を飾らずに描いていることだと感じました。
青春という言葉で美化されがちな高校時代を、むやみと装飾することなく淡々と述べているようなところにかなり好印象をいだきました。普段は女子高生という言葉を聞くと少なからず興奮してしまう私も、こんな高校生活を送っているような女子高生には全然興奮しないなあ...と思わざるを得ないくらいに妙にリアルなのです。そんなふうに面白がってしまうのは失礼なのかも知れませんが、それでもむきだしの本音ともとれる著者の一言一言はすごく読んでいて楽しかったです。わたしも昔のことをブログで書くことはありますが、ここまで赤裸々には書けないなと思うし、普通にはなかなか書けない(書かない?)ところにまで踏み込んでいるからこその面白さなのかも知れません。


あと、本書の挿絵は著者自身で書かれたそうですが、本当にかわいらしい絵だしすごくうまくて感心せずにはいられませんでした。たしかに美術部に入っていたことが本書の中でも書かれていましたが、この絵を見て本の中の話と現実がつながったような気がしました。


わたしは豊島さんの本が大好きだ!!と思っていたのですが、改めて調べてみたらこれが2冊目でした...。「檸檬のころ」は映画を観ただけで原作には手を出していなかったようです。何たる体たらく...。
ただし、唯一読んでいた「夜の朝顔」は今年の夏に読んだ35冊くらいの本の中では一番のよくてずいぶんと愛読させていただきました。きっと、そのときに繰り返し読んだ印象がつよく残っていたんだろうなあ...。このエッセイで著者のことが一層好きになったので、これからもっと積極的に読んでみようと思います。


(参考)