ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

余命少ない2人が、やぶれかぶれの旅を続けるロードムービー。病院を抜け出し、ベンツを盗んで、旅に出た2人。中に大金が積まれていたことも知らずに…。道中、犯罪を繰り返し、ギャングのみならず、警察からも追われる身になる。

http://www.amazon.co.jp/dp/B00005V2NJ

先日公開された「ヘブンズ・ドア」が予想外にいまいち納得出来ない内容だったので、リメイク元となった作品は一体どんな作品だったのかを確かめたくて鑑賞しました。
結論からいうとものすごく面白かったです。リメイク版で感じられたよく分からないつじつま合わせのようなストーリー展開は一切なく、演出もとてもナチュラルで「死ぬ前に海が見たいんだ」という当初から二人が目的としていたことへの執着の強さが伝わってきて海に向かうという二人の行動にも説得力が感じられました。また、その旅をとおして二人が単に死期を同じくしただけという間柄ではなく一つの目的のために行動を共にした仲間になっていくのも観ていて非常にぐっときました。


そしてこの作品を観たことで、公開中のリメイク版が何でこうなっちゃったのかという理由も分かったような気がしました。
何ていうか半端にリメイクが忠実過ぎるんですよね。演じている主演2人のタイプも性別も全く違うし、舞台もドイツと日本と違うのにやっていたことだけを忠実に再現して...ってそりゃ違和感を感じて当然です。こんなに男臭い作品を長瀬と福田でやろうという時点でちょっと構想倒れなんじゃないかと思わずにはいられません。
「死を前にして海を見に行く」というそのテーマだけをいただいて、あとは長瀬と福田にお似合いのストーリーを着せてあげれば今以上にもっとよかったのになと思います。そうなるとリメイクとは言えなくなるのでそれはそれで問題なのでしょうが、よほどその方が観られる作品になっただろうし作り手の味も出せたんじゃないでしょうか。


なぜか銃が弾切れしないとか、細かい部分にはあれ?っと感じる部分もあるにはあったのですが、そんなの関係ねーというか全然気にならないのもこの作品ならでは。大事なのはそういう細かい演出上の整合性が取れてるとか取れてないとかじゃなくて、二人がこれからどうなってしまうのかという、ただそれだけなんですよね。この勢いというかパワーもこの作品だからこその魅力だと感じています。本当にいい作品です。


原作が好きな人にはリメイク版の方はあまりお奨め出来ないです。別物としてみればまだいいのですが、リメイクとして観たらきっと悲しくなります。期待はほどほどにして鑑賞することをお奨めします。
わたしはリメイク→オリジナルの順番で観たからまだいいのですが、逆に観てたらたぶんまともに観れなかった気がします。