「モールス」見たよ


母と暮らす孤独な12歳の少年・オーウェンは学校でのイジメに悩んでいた。そんなある日、謎多き少女アビーが隣に越してくる。孤独を抱える2人は徐々に惹かれあうようになり、オーウェンはアビーに隠された“哀しい秘密”を知ることになる。時を同じくして、町では残酷な連続猟奇殺人が頻繁に起こるようになり、捜査の手は2人の住む団地へと及ぶが――。

『モールス』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。


本作「モールス」は昨年公開されて人気を博した「ぼくのエリ」のハリウッドリメイク版となる作品なのですが、ストーリーの基本路線はオリジナルを忠実に再現しており、その点の出来のよさはたいへんよかったと感じました。リメイク元の作品と比べられることを恐れずに、ここまで忠実にリメイクに徹したことは清々しくて信頼できる作り手であると感じられました。


ではキャスト以外で違うのは何かというと演出面が大きな変更としてはありました。
リメイク元である「ぼくのエリ」は、作中に存在していたいくつかの謎について最後まで明確な答えを出すことはせずにぼんやりとその答えを仄めかすように描かれていました。例えばアビーとその保護者の男性の関係については「ぼくのエリ」ではまったく描かれていなかったのですが、本作ではオーウェンがある写真を見つけるというシーンを加えることによってその答えをはっきりと提示します。
そのため、リメイク元ではある程度オブラートに包まれていたものが明確に描かれている分、ラストまで観終えた時に見えてくる物語の輪郭はとてもくっきりとしていてモヤモヤした気持ちにはなりません。そこを「わかりやすかった」と受け取るのか「品がない」と受け取るのかは好き嫌いになると思いますが、わたしは分かりやすくてすごくよかった派に所属することにしました。


ちなみに前作の公開時に話題になったぼかしの入ったシーンについては、今作は一切の映像表現は避けていました。
あくまでオーウェンの表情から察してくれということなんでしょうが、やっぱりあればかりは難しいのか...とちょっと残念でした。


あと個人的に残念だなと感じたのは「ぼくのエリ」では感じられた北国特有の閉鎖的な空気がものすごく薄まっていた点です。
もしかしたらデジタル上映で観たのがよくなかったんじゃ...とも思っているのですが、「ぼくのエリ」で感じられた作品全体的を覆うようなほの暗さや息詰まるような閉塞感がほとんど感じられなかったのは物足りなかったです。


そんなわけでリメイク元と比べてしまうとどうしても不足している部分を見つけてしまいますが、話を最初に戻すと、ここまでオリジナルを踏襲しているということはそういった批判を受けることは覚悟の上なんだと思いますし、そう考えるとリメイク元を観ていない人に向けて作られた作品なんだなということを感じました。


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