細菌兵器を乗せた軍用機がある小さな町の川に墜落。ウィルスが水に漏れ出し、水を飲んだ人は凶暴化し町はパニックに陥る。この事件を軍は内密に処理しようと、住民を隔離することに。町に取り残された保安官・デヴィッドと妻、デヴィッドの同僚・ラッセルは脱出することを決心するが、感染者は次々と襲いかかってくる――。ジョージ・A・ロメロ監督の幻の傑作『ザ・クレイジーズ』('73)をリメイクしたサバイバルムービー。
『クレイジーズ』作品情報 | cinemacafe.net
MOVIX宇都宮にて。
30年以上前の作品のリメイクと言うだけあって、物語も演出もとてもシンプルでベタなんですが、これがなかなか過激面白かったです。
ゾンビ愛好家としては、ロメロ監督の作品のリメイクと聞くだけでゾンビ!ゾンビ!と色めきだってしまうのですが、この作品で描かれるのはゾンビになるのではなく"クレイジー"になる人です。感染者たちが人間らしさというか理性をかろうじて保ちながらも、ふつふつと湧き上がってくる他者を蹂躙したくてしょうがないという欲望を抑えきれず、狂気へと走っていくさまが怖いんですよね。これをみていると、彼らは「人とゾンビの境界線のあいまいな部分に配置されているとても怖い存在」であるという印象を受けましたし、純粋なモンスターよりも怖いなと感じてしまうのです。
これがもし狂人という設定ではなく、単に理性を持たない存在(例えばゾンビとか吸血鬼的なモンスター)であれば、自らの身を守るためにただ全力で排除するだけなのですが、理性を保てなくなって狂人と化しただけの隣人・他者を有無を言わさずに排除することはさすがに出来ないんですよね。
単純に追いかけられる怖さだけではなく、それまでは仲間だと信じていた人が殺されていなくなったり、もしくは敵対する存在に変わっていく恐怖! 心休まる暇を与えてくれない、ドキドキの永久機関のような設定・演出のうまさがとても気に入りました。
あと全体をとおして気に入ったのは、狂人化してしまった人を軍が制圧して撃ち殺すシーンで、その狂人の死体をものすごい火力で焼き尽くすシーンがあったのですが、その圧倒的な火力のすごさと冗談みたいにプスプスと灰になってしまった燃えカスをみて訳も分からず興奮してしまいました。
こういうエグイシーンって元々好きじゃないと思っていたのですが、何だかあの一気に燃やしてしまうところに嫌なことを全部吹っ飛ばしてしまうような妙な力強さを感じたんですよね。
観てるだけで超すっきり!
「人が燃やされるのをみてすっきりするだなんて、俺はなんてダメな人間なんだ...」と反省する気持ちがわいてこないでもないのですが、そういうしおらしい気持ちよりも「汚物は消毒だ!!ヒャッハー!!」的な快感が勝ってしまいました。
これからは嫌なことがあったら、人が燃やされる映画を観ることにします。
公式サイトはこちら