「映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記」見たよ


ヒーローに憧れるドラえもんたち5人は、ひみつ道具「バーガー監督」とヒーロー映画を撮っていた。すると、地球に不時着していたポックル星人のアロンに本物のヒーローと間違われて宇宙へと連れて行かれる。到着したポックル星は一見、発展した豊かな星のようだったが、その陰では宇宙海賊のある恐ろしい計画が進行していた…。このままではポックル星は滅んでしまう。ポックル星を救え!ドラえもんたち「銀河防衛隊」!!

『映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)』作品情報 | cinemacafe.net


ドラえもんの映画の感想を書くときはいつもこの話を書くのですが、新しいドラえもんになってからの劇場版のドラえもんは「過去の大長編の焼き直し」と「オリジナルシナリオ」をほぼ毎年交互に上映しています。「ほぼ」と書いたのは、2006年と2007年は「のび太と恐竜」と「魔界大冒険」の大長編リメイクを続けて上映したり、2012年と2013年は「奇跡の島」と「ひみつ道具博物館」のオリジナルシナリオを続けて上映したように例外が一部あるからなのですが、とにかくだいたいは「リメイク」→「オリジナル」を繰り返していたわけです。

わたしは2007年の「新魔界大冒険」から9年続けて劇場で観ていて、「大長編リメイクはわりとおもしろいけど、オリジナルシナリオはいまいち」というのがわたしの中での定説となっていました。

大長編リメイクも微妙なときはありましたが、平均点で言えばリメイクが75点でオリジナルが30点くらい*1の差はあると感じていたのです。最近はわりとおもしろいオリジナルもあったのですが、平均すればそのくらいの差が生じるほどのクオリティの違いは実感していたのです。


そういう流れで訪れた今年はオリジナルシナリオの年でして、予告が地味だったこともあってあまり期待はせずに観に行ったのですが、過去のオリジナル作品に比べるとかなり頑張っていたんじゃないかと思いますし、わたしはすごくおもしろかったと感じました。


本作はテレビで人気のヒーローにあこがれてヒーロー映画を撮っていたのび太たちが、ひょんなことから本物の宇宙戦争に巻き込まれていくというお話でしたが、平和でおだやかな日常生活から非日常な世界へと不意に引きずり込まれることになるやや強引な展開はいかにも劇場版っぽくてよかったです。

過去の大長編を振りかえってみると、夏休みの思い出づくりに海底へと遊びに行ったらそこで人類と敵対しうる強大な敵と地球の存亡を賭けて戦うことになる「海底鬼岩城」なんかがよい例ですが、ちょっと出かけるつもりがものすごい大冒険になってしまうという展開はドラえもん映画の中ではかなり鉄板のテンプレートであることが分かります。

本作はその大長編の流れを強く汲みとっていて、「ちょっと行ってくるつもりが大変なことになってしまう」というワクワク感に満ちた展開が繰り広げられていて非常に興奮しました。「これこそ劇場版のドラえもん!」と感じる味わいがしっかりと出ていたし、全体的に描写不足だと感じる部分はあったもののその描かれない空白を想像で埋めたくなる程度に魅力ある物語に仕上がっていたなと感じました。


ちなみに、今作を観た人のうち大人からは評価がやたら低いように見受けられますが、わたしの観測範囲では子どもたちの反応はかなりよかったです。「ヒーローとは...」とか「あいつ、結局何もしてないじゃん」みたいなことを言っている人もいますが、子どもたちの感想を聞くとそういう部分に対する不満よりもすごいおもしろかったという意見ばかり聴こえてきます。

まさに大好評のようでした。


そう考えると、別に大人に向ける必要もありませんしこの子ども受けする路線でいいんじゃないかと思います。
むだに目の肥えた大人が楽しめるものを目指すのではなく、子どもたちが愛してやまないドラえもんがいつもよりもスケールの大きな物語の冒険に連れ出してくれるそんな映画であり続けて欲しいと切に願っています。



@MOVIX宇都宮で鑑賞


公式サイトはこちら

*1:適当なので本気にしないでください