スティーブ・ジョブズ神の交渉力

日本人は交渉が上手ではないというのは、常日頃から日本の外交の様子を見ていれば何となく分かりますし、以前読んだ「プロ交渉人 世界は「交渉」で動く」という本で著書の諸星さんがこんなことを書かれています。
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プロ交渉人―世界は「交渉」で動く (集英社新書 419B

プロ交渉人―世界は「交渉」で動く (集英社新書 419B

閉ざされた島国の伝統からか、我々日本人は自分たちだけで固まりがちであるし、外部との交渉は下手というイメージがぬぐえない。実行できるかどうかは別にしても、少しでも努力しない限り、いつまで経っても日本人は、核心の議論からは蚊帳の外に取り残されたままだ。


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つまり、身内同士でワイワイやるのは得意だけど、外部の人との議論となると途端にダメになってしまうということのようです。たしかに実感としてもそんな感じだよなあと思います。いわゆる内弁慶ってやつですね。わかります*1


そんな交渉がうまくないと言われる日本人の中でも、トップクラスに交渉に向いていないという自信があるくらい「交渉」が苦手です。利害調整や何かを決めることがとてもへたくそなのです。
つまり、私は交渉というスキルについては人類の中でも下の下に位置すると自負しています。
では私の逆の上の上、つまり神のような交渉力をもつ人間とはどのような人物なのかということにいつも興味を持っていたところ、面白い本を見つけました。



この本はアップルの創業者であるジョブスの天才的な交渉力がどのようなものなのかを書いた本です。
ただし、この本が交渉力を磨く手助けとなるかというと全くならなくて、むしろ自身の交渉力のなさをどうにか克服しようという気すら起きなくなるようなそんな内容でした。
彼にしか出来ない交渉術。
いや。むしろこれは交渉術などではなくて、彼の自然な振る舞いであり、真似て出来るようなものではないのだということが本書からうかがえます。参考にならないといえばこれほど参考にならない本はないのですが、世界で唯一とも言える能力の持ち主であるジョブスの一挙手一投足は非常に刺激的で面白かったです。


とりあえず読み終わってすぐに思ったのは、この本を書いた人はMacが、そしてジョブスが好きなんだろうなと。つまりは熱烈なジョブス信者だなということでした。文章の端々から彼への愛が感じられる1冊でした。

*1:私はモロにそんなタイプだなあ