最近読んだ本の感想(2014/1/25〜1/31)


1月25日から1月31日まで読んだ本の感想まとめ。

7. さよならドビュッシー

さよならドビュッシー (宝島社文庫)

さよならドビュッシー (宝島社文庫)

ピアニストからも絶賛!ドビュッシーの調べにのせて贈る、音楽ミステリー。ピアニストを目指す遙、16歳。祖父と従姉妹とともに火事に遭い、ひとりだけ生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負う。それでもピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する―。第8回『このミス』大賞受賞作品。

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立ち寄った本屋で何となく手にした「おやすみラフマニノフ」を買ったので、その前段としてこちらを再読。
映画はちょっと演出が合わなくて楽しめませんでしたが原作であるこちらは大好きです。


結末を知ったうえで改めて読むと、ところどころでちゃんと結末で明かされる事実へのヒントがあちこちに載っていることに気づきました。一度とはまた違った楽しみ方ができるのもよいところですね。よかったです。

8. おやすみラフマニノフ

おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)

おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)

第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに秋の演奏会を控え、プロへの切符をつかむために練習に励んでいた。しかし完全密室で保管される、時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれた。彼らの身にも不可解な事件が次々と起こり…。ラフマニノフの名曲とともに明かされる驚愕の真実!美しい音楽描写と緻密なトリックが奇跡的に融合した人気の音楽ミステリー。

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「さよならドビュッシー」の続編だと思っていましたが、時間軸の一部や数名の登場人物が被っているだけのまったく別のお話でした。岬先生が主人公のシリーズなんですね、これ(いまさら)。


読んでみての感想は「おもしろかった」の一言に尽きます。
前作「さよならドビュッシー」のときにも感心したのですが、著者の中山さんの書く文章ってすごいんです。

登場人物の人物像をくっきりと書き分けるうまさ、会話のわかりやすさ、そして音楽を理論的に分解して文章として組み立てて見せるその知識の豊富さ、そして印象に残るタイトルがただ記憶に残りやすいというだけでなく物語の結末とリンクとしているところなど、もう見事としか言いようのないくらいすばらしいできばえでした。

特に人物描写は非常に緻密で、初めて出てきた人は分かりやすく、そして「さよならドビュッシー」でも出ていた人については人となりがより立体的になるように別の視点から見える表情も描いているんです。読めば読むほど登場人物に愛着をもってしまいます。


ただ、一点気になったのは後半のあるシーンから物語が加速度的に進んでしまってラストの犯人がわかるところまであっという間に過ぎ去ってしまったところです。たしかにここで端折った部分を埋めてもあまりおもしろい内容にはならなそうですが、他の箇所に比べるとあまりにスピード感が違い過ぎたのでやや違和感をおぼえました。

とはいえ、繰り返し読みたくなるたいへんおもしろい傑作でしたのではやく次の「いつまでもショパン」か前日譚である「プレリュード」を読みたいです。



いつまでもショパン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

いつまでもショパン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)