記録的な猛暑に見舞われた夏も終わり、ようやく空気が澄み渡った気持ちの良い秋が訪れました。
食欲、芸術、スポーツ、さまざまな言葉で表される秋ですが、忘れてはならないのが読書の秋。普段からたくさんの書評や読書記録が投稿されるはてなダイアリーでは、よりいっそう強くそう感じます。
そこで、夏に開催したフォトコンテストに続き、秋のお題特別編「秋の夜長は読書感想文をブログに書こう!」を開催いたします。
マンガでも、ライトノベルでも、純文学でもかまいません。愛読書の紹介や、お気に入りの一冊、最近読んだ本の感想文、書評、ブックレビュー、などなど。応募キーワード「秋の夜長は読書とブログ」を明記の上、Amazon商品紹介機能を使って投稿してください。
今週のお題特別編「秋の夜長は読書感想文をブログに書こう!」 - はてなダイアリー日記
秋のお題特別編ということでこんなお題が出ていましたのでひさしぶりに読書感想文を書こうと思います。
本は「私という運命について」です。

- 作者: 白石一文
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/09/25
- メディア: 文庫
- クリック: 21回
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恋愛、仕事、結婚、出産、家族、死…。大手企業に勤務するキャリア女性の29歳から40歳までの“揺れる10年”を描き、「運命」の不可思議とその根源的意味を鮮やかに描いた書き下ろし900枚、待望の刊行。
http://www.amazon.co.jp/dp/4048736078
この本は2年以上前に買った本で一度読んだことがあるのですが正直それほど好きな内容ではありませんでした。
読み終えた時も「自分には合わなかったなあ」と思って本棚の奥にしまい込んでいたほどでしたが、先日秋に読みたい本を探していたときにこの本を見つけて不意に読みたくなって再読しちゃいました。久しぶりに読んでも基本的な感想は変わりませんが、以前よりはこの本が言いたかったであろうことをかなり前向きに受け止められるようになっていることに少しおどろきをおぼえました。
物語はある女性が昔付き合っていた男性から大事な話があると呼び出されるところから始まります。
彼女は新潟にあるその男性の実家に行き、男性の母と二人で温泉に行くほどの仲でしたがその後男性から求婚されるもののいまいちピンとこなかったために何となく別れてしまいます。そしてその男性が数年後に別の女性と結婚する段になってじつは大事な話があるんだと言い出して二人で会って話したところから女性は自分の運命について改めて考えるようになります。
本書はタイトルにあるとおり「運命」というものを一つのテーマとして掲げています。
運命とは何か?と問うと人それぞれ答えは変わりそうですが、わたしが答えるとすれば「その人に与えられた生きる道」だと答えます。
こんなふうに言うと「既に与えられた道があるということはそこを歩くことしかできないのか?」という人もいます。
この質問を言い換えれば「生きていく中で主体的に何かを選択することはできないのか?」ということであり、また「その人の身に降りかかるすべてが必然であり、偶然というのは存在しないのか?」ということになると思います。
私なりにこの問いに答えるとすれば「主体的に選択することは当然可能である」であり、「選択した結果として起こることに偶然はなくすべて必然」です。
上で「運命がその人に与えられた生きる道」だと書きましたが、与えられたのは道筋だけで道そのものが最初からあるとはかぎらないしむしろ生きていく中で作られていくものだと思っています。だから主体的に何かを選択することは当然できるし、その選択こそが生きる道を作るために必要な唯一のものであると思っています。
よく「人生は選択の連続」だといいますがわたしもそのとおりだと思っています。人生を左右するような大きな選択から朝ごはんに何を食べようかという小さな選択に至るまで、その人が積み重ねたひとつひとつの選択が人生にその人らしさを与えてくれるのだと考えています。
そしてもう一つ付け加えるとすれば、選択して起こった結果はすべて受け入れるしかできないことだということです。
偶然と必然という対偶にある関係を持ち出して、いま起こったことは偶然と必然のどちらなのか?と問うことは簡単ですが、そのことに何の意味があるのか理解に苦しみます。それがどういう経緯をたどったのであれ、起こった以上は必然だったと思うよりほかありません。
もちろん理不尽過ぎて偶然だったと思わなければ受け止められないことがこの世にはたくさんあることは承知していますし、そうだと主張することをわたしは否定するつもりはありません。ですがわたしはこの世に偶然なんてものは何一つないのだと思っているし、それを受け止めて生きることが大事なのだと信じています。
本書の感想に戻って、本書は↑で書いたようなわたしがいま考えている生きることに対する価値観にはすごくフィットする内容でしたし、だから読んでいておもしろいなと感じる部分も少なくありませんでした。ただ、男女の違いなのかも知れませんが主人公の女性のような人はわたしはすごく苦手だし好きではないなと思ったし、そこが読んでいてつらいなと感じました。
普段は目の前にある何かに反応してしまったり、刹那の感情に左右されてしまってなかなか大局的に人生を俯瞰する機会がないと思っています。もしかしたら世の多くの人たちから「そんないい加減には生きていない」と怒られてしまうかも知れませんが、でもそんな人ほどこの本から「人が生きること」を長期的なスパンでとらえることのおもしろさを感じてくれるんじゃないかなとわたしは思います。
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