「死霊のはらわた」見たよ


山奥の不気味な小屋を訪れたミアたち5人の男女は、その小屋で禁断の「死者の書」を発見し、死霊を甦らせてしまう。姿なき死霊に憑依され豹変したミアは、仲間たちに襲い掛かる。死霊によって閉ざされた山から出る事も助けを呼ぶ事もできずに、次々に憑依されていく若者たち。彼らに生き残る術はあるのか――。サム・ライミ監督『死霊のはらわた』のリメイク版。

『死霊のはらわた』作品情報 | cinemacafe.net


MOVIX宇都宮で観てきました。
オリジナル版は未見ですので思い入れもなにもないのですが、ひさしぶりにホラー映画が観たくなって観に行ってきました。


最初に書いたとおりオリジナル版は未見ですのでそちらとの比較はできませんが、このリメイク版にかぎって言えば正直おもしろいとはまったく思えない作品でした。

映像についてはとてもよくできていると感じる部分が多くて、身体破損を描いた描写はどれもリアリティがあって気持ち悪かったし思わずゾッとしてしまうほどうまく描かれていたように感じたのですが、いかんせん話がまったくおもしろくなかったです。


まず一番ダメだったのがミアの兄デヴィットの行動・発言のすべてがあまりにひどくて終始イライラしてしまいました。


 どう考えても状況的に単独行動させるのはまずいだろうという状況でそれを仲間に指示したり、どう見てもまともではないのに妹のことは信じたいという甘さから仲間を危険な目に合せてしまったりと、常にピンチを招く男として大活躍します。ホラーなんだからそういう展開に持ち込まないといけないのはわかるけど、でも「いくらなんでもそれはないだろう」的なツッコみを期待しているんじゃないかと思わずにはいられないくらいしょうもない行動を繰り返して見ているわたしのセンシティブな感情をつつきまくってくれました。


デヴィットにはまっさきに死んでほしかった...。


そして次にきつかったのはエリック。

 彼は偶然見つけた本を勝手に読み始めた挙句、やるなと書かれていることを率先して行って事態を最悪の方向に導いてしまいます。
こいつが封印されていた本を無理やり開けなければ....。こいつがあの本を読み始めなければ...。こいつが悪魔を呼び出さなければ....。


エリックはデヴィットといっしょに死んでh(以下略)


このバカ男2人の考えなしの行動が事態をどんどんと悪化させて、結果女性3人がその被害にあうというたいへん痛ましい状況におちいるわけです。彼らのすべての行動は思い付き以上の何ものでもないようにしか見えず、理解もできなければ共感もできない以上、この2人がさっさと死んでいれば、女性3人は死なずに済んだのに...としか思えないのです。


もちろんホラー映画なので話が悪い方向に転がるのは当然ですし、そのために登場人物が過ちや間違った選択をしてしまうという展開自体は仕方がないと思っているのですが、それにしたっていくらなんでもそりゃないだろうという行動ばかりとり続けるために、怖い/怖くない以前に主人公たちのバカさ加減にイライラしてしまったのです。

さすがにもうちょっと賢く立ち振る舞ってもらわないと「ただのバカが地雷原を全裸で突っ走っているだけ」のようにしか見えないし、そのことが物語から緊張感と恐怖を奪ってしまったと思うのです。怖がりのわたしがここまで怖くないと思う時点で、ホラー映画としてはいかがなものかと思いますよ。


そしてもうひとつ不可解だったのが、登場人物のバックグラウンドがほとんど描かれなかった点です。

知人・友人関係にあって、ある目的のために集まったというのはわかるのですが、背景にはもう少し深い部分のつながりがあるようなそぶりを見せておきながらまったくその点について語られないところにモヤモヤしてしょうがありませんでした。人間関係があまりに薄っぺら過ぎて、登場人物が殺されていくことに何の感傷を抱くこともできなかったのもわたしの好みとしてはちょっとハズレでした。


90分という手ごろな上映時間にも関わらず、「こうなったらさっさと全員死なないかな」と思いながら観ていたら上映時間がすごく長く感じられました。もともと好きなジャンルではありませんでしたが、わたしにはホラー映画はあわないのかなと思い知らされた気がした作品でした。


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