「死霊高校」観てきました


呪われた学校を舞台にPOV(主観映像)形式で描くサスペンスホラー。1993年、高校演劇として上演されていた「絞首台」のクライマックスで、主役のチャーリーに大惨事が起こる。それから20年後、同じ舞台で同じ「絞首台」を演じることになった高校生男女4人は、本番前夜に忍び込んだ校舎で、20年前の惨劇の映像を目にしてしまう。そして、その直後から周囲で怪現象が次々に発生する。

死霊高校 : 作品情報 - 映画.com


わたしは昔から怖がりというかビビりやすい性格でしてホラーは大の苦手なんですが、苦手なくせにホラー映画や心霊写真は大好きというたいへん困った人間です。これがどのくらい切ないことなのかは「パンが好きなのに小麦アレルギー」「猫が好きなのにネコアレルギー」みたいなことを想像してもらえればわかりやすいのではないかと思います。

そんな怖いもの好き(自称)ですので近所でホラー映画が公開されると聞けばすぐに映画館へと駆け込んで観るわけですが、映画が始まって10分くらい観たところで大抵観に来てしまったことを後悔してしまいます。

ホラー映画を観るだけでも怖いのに劇場内は真っ暗でよけいに恐怖心があおられるし、後ろの席に誰か座るともうその人に殺されるんじゃないかとドキドキして映画どころではなくなってしまいます。では後ろの席に誰か座るのが怖いのであれば一番後ろに座ればいいじゃんと思ってそうすると、それはそれで後ろの壁から手が出てきて引きずり込まれるんじゃないかとか前に座っている人たちが気づかれないうちに殺されてしまうんじゃないかとか考えてしまってまた怖くなってくるし、もうそもそも映画館でホラー映画を観ること自体が怖いんだなと。


そんなわけで今回も観たら後悔するんだろうなと思いながらも「死霊高校」を観てきました。


本作は、とある高校で20年前に行われたときに演者の一人が死んでしまったといういわくつきの演劇を再演しようと準備していたのですが、無理やり参加させられていたアメフト部の男の子(この子が今回のカメラマン)とその彼女、そして主役として出る予定だった男の子の3人が劇を中止に追い込むために前日の夜に忍び込んで舞台をめちゃくちゃにしようとしたら...というお話です。


今回この作品で怖い目にあうのはアメフト部とその彼女といういわゆるジョックに属する人たちなのですが、これが本当にひどいやつらでしてもう人間として終わってるだろうとしか言えないクズだったりします。演劇部のメンバーをカメラで映しながらその容姿をなじったり演劇に情熱を注いでいる人のことをバカにしたり、さらに弱そうなやつや気に入らないやつのことは力で抑えつけようとします。

彼や彼女の行動・発言は見ている/聞いているだけで不愉快になったし彼らのそのクズっぷりに心底うんざりもしました。

そんなわけで彼らがさんざんビビらされてひどい目にあわされてもなんとも思わなかったし、むしろすっきりしたという意味においてはこの彼らの性格付けはとてもよかったなと思います。この映画が怖くなかったとは言いませんし実際に終始ビクビクしていたのですが、覚悟していたほど怖がらずに済んだのはこの設定と演出のおかげだろうなと思います。


あとは物語の中盤である事実が判明し、そして結末ではこの一連の出来事をそのバックグラウンドを含めて明らかになるのですがこれがまたありきたりではない意外なものでして、見ていて思わず「へー」と言ってしまうほどの内容でした。ただただ怖がらせようとしてだけではなく、ひとつの物語としてその骨組みまでしっかり考えられていたことにはただただ感心させられました。


「なんか変な出来事が起こってる...」→「20年前の事件のせいだ!」→「実は...」


という流れがすごくよかったなと。


そんなわけで「怖いけれどそれ以上におもしろい」というのがこの作品に対するわたしの評価でして、ひさびさにおもしろいホラー映画が観られたことにたいへん満足しました。ここまで楽しめたホラーは「スペル」以来かも!*1


@MOVIX宇都宮で鑑賞

*1:「スペル」はホラー映画ではないというツッコミはご遠慮ください