「ムーンライズ・キングダム」見たよ


養子であることを寂しく思いつつ、周りの友達とは違う自分にいつも違和感を感じながら日々ボーイスカウトで生活をするサムは、いつも本ばかり読んでキャラクターの世界に生きる少女・スージーに恋をする。キャンプでの生活を窮屈に思った2人は文通を始め、キャンプからの脱走を企てる。生きていくためのキットを全て持ち出し、愛するスージーを救い出し、森で自由を満喫する彼ら。やがて保安官、ソーシャル・ワーカー、スージーの両親、みんなが彼らを捜すうちに平和な村は一挙に嵐や火事に巻き込まれていく――。

『ムーンライズ・キングダム』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮で観てきました。


ふだんは観る作品を誰が監督なのか?という基準で選ぶことはないのですが、そんな中にあってめずらしくこの人が監督だったら観たいと思うのが本作の監督であるウェス・アンダーソン監督です。

初めてウェス・アンダーソンの作品を観たのは「ダージリン急行」でしたが、映画館で映画を観るようになって間もなかったわたしにとって、細部のアイテムまで計算しつくされて配置されていることが見て取れる映像のユニークさはとても衝撃的でつよく印象に残りました。家族をテーマにしたストーリーもたいへんわたし好みでして、2007年に観た作品の中でもとりわけ記憶に残っている作品です。

次いで観たのが「ファンタスティックMr.FOX」。

もともとストップモーションアニメーションは大好きだったのですが、この作品は登場人物がすべて動物という作品の魅力をものの見事に高めてくれる手法としてストップモーションを使っていることがうかがえるすばらしい傑作でした。そして映像もたいへんよかったのですが、ストーリーも「ダージリン急行」と同様に家族をテーマにすえていて、監督のこのテーマへのこだわりを感じました。


この2作品をすっかり気に入ってしまったわたしは、同時にウェス・アンダーソン監督への信頼も深めまして次の作品をずっと心待ちにしていました。そしてやっと公開されたのが本作「ムーンライズ・キングダム」ということで、いかにわたしがこの作品を楽しみにしていたのかということをつらつらとつづってみました。


さて。

本作は家庭に問題をもつ少年と少女が駆け落ちをするというお話でしたが、ウェス・アンダーソン監督らしいみごとな絵作りで紡がれる現代の童話といった印象を受けました。画面の構成がとにかくきっちりとしているし、さらに配置されているアイテムや登場人物の服装やらとにかくすべてがかわいらしく作りこまれていて観ているだけですごく幸せな気分になってしまうのはさすがとしか言いようがありません。

とりわけ印象的なのは冒頭のスージーの家の中を映すシーンでして、ここはディテールまで含めて完璧なシーンです。足りないモノはなにもないし、余計なモノもなにもない。作品の冒頭でこんな完全性を目の当たりにしてしまうと、この作品への信頼は揺るぎないものになり、そして期待は上限なしに高まってしまいます。

そして最後までその高い期待をひとつも裏切ることなく、物語は完成したように感じたし、パーフェクトと言えるおもしろさでした。
なんかもうそれ以上言いたいことはないです。かわいくておもしろい。以上っていう感じです。


と、ここまであれこれ書いてきましたが、作品の内容をどうこういう以前にウェス・アンダーソン監督の作品が宇都宮で観られたことがとにかくうれしかったです。観たい作品を観ることがとてもむずかしくなっている宇都宮において、心待ちにしていたこの作品を劇場で観ることができたことがなによりもうれしいと感じています。

実際に「ファンタスティックMr.FOX」は近くでの上映がなくて、目黒シネマで再上映されたときに観に行ったくらいです。

公開された週末以降はあまり人の入りもよくなかったようでそれがまたこういったマイナー作品の上映に歯止めがかかることになりそうでちょっと不安ではありますが、ともかくこの作品を上映してくれたTOHOシネマズにはとても感謝しています。昨年の「メランコリア」や「マペッツ」もそうなんですが、劇場で観ることをあきらめていた作品をかけてくれるのは本当にうれしいです。


ちょっと気が早いのですが、ぜひ次のウェス・アンダーソン監督の作品も上映してくれることを期待してます。




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