「ポテチ」見たよ


仙台市、同じ年、同じ日に生まれた2人はのちに、片方はプロ野球のスター選手、もう片方はごくごく普通の凡人へと育つ…。ある日、空き巣を生業とする男と自殺願望を持つ女が、地元のプロ野球選手の家に盗みに入ったことから始まる。目に見えない奇妙なつながりが、小さな奇跡を起こす様子を描く――。伊坂幸太郎の原作を『鴨とアヒルのコインロッカー』、『フィッシュストーリー』などの中村組スタッフで映画化。

『ポテチ』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮で観てきました。


上映時間68分とかなり短めの尺でしたので、観る前は「全部を描ききれないんじゃないか」とか「ボリューム不足で物足りなさを感じるのではないか」と心配していたのですが、まったくそんなことはありませんでした。原作に色濃く出ている「点と点がつながる気持ちよさ」をしっかりと演出しつつ、さらに仙台という場所の魅力や匂いをふんだんに取り入れることで伊坂作品らしさを感じさせる作品に仕上がっていました。

中村監督と井坂作品の組み合わせのよさは、「アヒルと鴨のコインロッカー」や「フィッシュストーリー」「ゴールデンスランバー」といずれの作品でも十分証明されていますが、この作品によってその事実が補強されたと言っても良いと思います。

上述したいずれの映像化作品も好きなのですが、それらに負けず劣らず本作は大好きな作品となりました。


さて。
冒頭で書いたとおり、本作は上映時間がとても短めなのですがまったく物足りなさや説明不足を感じさせません。その理由について観終えてからいろいろと考えたのですが、これ情報量だけで観ると2時間の映画とさほど差はないくらいにかなり情報がぎっしりと詰め込まれているんですよね。

作品のあちこちに無駄なく張り巡らされた伏線と、手際よく回収していく流れは本当にすばらしかったし、それらすべてがラストに向けた助走となっている点はもう見事としか言いようがありません。

「ホームランなんてただボールが遠くに飛ぶだけじゃん」と言っていた若葉の言葉は、野球を見たことがない人の素直な感想だと思うし一面的には事実でもあるのですが、実際にはそこに至るさまざまなドラマがあるわけでそこを観てしまうとたかが遠くに飛ぶだけとは言えないのです。

そういった「文脈のもつ力」「物語の力」を強烈に伝えてくれる作品だったし、物語のおもしろさだけではなくそのことにもものすごく感動しました。


ちなみに本作には竹内結子さんがエキストラで出ているそうです。

2008年の映画「チーム・バチスタの栄光」で中村監督とタッグを組んだ竹内が、別の映画のキャンペーンで「ポテチ」の撮影をしていた仙台市を訪れ、監督と再会した縁から実現。自らエキストラ役を志願した竹内は、木村文乃(24)演じるヒロインが飛び降り自殺しようとするシーンの通行人役で登場。女優人生初のエキストラ経験で、出演時間は、わずか3秒だ。

http://www.sanspo.com/smp/geino/news/20120513/oth12051305200017-s.html

この情報は観た後に知ったので、観た時には気付きませんでした。
これを確認するためにもぜひもう一度観に行きたいです。


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