「クラウド アトラス」見たよ


19世紀の航海日誌に書かれた物語や、音楽家の青年の物語、クローン人間が存在する近未来の物語、未開の文明社会を舞台とする物語など、時間も場所も文明度も大きく異なる6つの物語が描かれ、それぞれが交差し繋がりあっていく――。

『クラウド アトラス』作品情報 | cinemacafe.net


MOVIX宇都宮で観てきました。

予告を観てもどんな話なのかさっぱりわからなかったのですが、でもわからないなりに「なんかおもしろそう」みたいな空気はひしひしと伝わってきたので観に行ってきました。平日公開の作品を初日に観に行くなんてすごいひさしぶりです*1


本作は場所も時代も異なる6つの物語が同時進行するというたいへんアクロバティックな作品でしたが、時空間を縦横無尽に切り貼りして接続して見せたとてもユニークな作品でした。文句なしにおもしろかったのですが、おもしろかったことよりも「なんかすごいもの観ちゃったな...」的な気分の方がつよく残る作品でした。


冒頭、個々の物語が始まってしばらくは当然それぞれの話がよくわからないのですがそのわからないモノをたくさん並べられてしまうことでやや気分がズンと重くなってしまいました。お腹が空いていないうちから食べ物をあれこれ食卓に並べられてしまったときのような、ある種膨満感に近い不快感をおぼえそうになったのです。

ところが物語が紡がれていって個々の物語が少しずつ紐解かれていくうちに、その膨満感は次第に適度な満腹感へと変わり、そしてそれは充足感となったのです。観終えてからあらためて作品のことを振りかえってみると、個々の物語それ自体はとてもシンプルな内容であってそれぞれが消化不良を起こすような難解さはもちあわせていません。

だからこそ6つの物語を同時並行的に進んでいってもしっかりと個々の作品を消化しながら楽しめたわけですし、それぞれがまるでひとつの物語であるかのように自然な流れのなかで次々とスイッチングされていくさまを観ていたら、ふと時空間から切り離されてしまったような気分になってしまいました。時空間の流れから取り残された場所に座りながらそれぞれの物語をテレビのチャンネルを変えるようにながめているような、いわゆる神の視点からこの世界を俯瞰しているようなそんな不思議な気持ちになってしまいました。


あと、この作品は上映時間が172分と超長かったので「仕事を終えてから観に行ったら疲れて眠くなるんじゃ...」と心配していましたが、そんな心配いっさい無用でした。おもしろすぎて眠くなる瞬間なんて1ナノ秒もありませんでしたし、なんだか現実離れした妙な夢を見てしまったあとのような得も言われぬ興奮状態になってしまったために、むしろ観る前よりも目が冴えてしまいました。


こんな変わった作品は初めて観たけど、観てよかったなと思える良い作品でした。


公式サイトはこちら

*1:と思ったら、先月の「ムーンライズ・キングダム」や先々月の「テッド」「96時間リベンジ」などなどいうほどひさしぶりではありませんでした...