ボクサーとしてチャンピオンになった経験がありながら暗い過去のために心を固く閉ざしていた男・チョルミン(ソ・ジソブ)は、視力を失いつつもいつも明るくはつらつとしたジョンファ(ハン・ヒョジュ)と出会う。そんなジョンファを見て少しずつ心を開いていくチョルミンだが――。
『ただ君だけ』作品情報 | cinemacafe.net
MOVIX宇都宮で見てきました。
先日「一枚のめぐり逢い」を観たときにこの作品の予告を初めて観たのですが、これがまたすごくよくておもしろそうだったので観に行ってきました。ストーリー自体は割とよくある内容でベタといえばベタなのですが、朴とつで言葉少ななチョルミンと親近感のもてる美貌の持ち主であるジョンファ*1の二人のやり取りがとにかく微笑ましてく見ているだけで幸せな気分になりました。
さらに冒頭から不明のままだった謎が後半に判明するのですが、その事実が有機的に結びつくことでストーリーが一気に立体的なふくらみをもつんですね。そのことが物語をすごくドラマチックに演出してくれて、観る前に期待していた以上にたのしく鑑賞できました。
前半は恋に落ちるまで、後半は運命によって再開するまでという質の違うロマンチックさを楽しめるというのも、ロマンチッカーの私にはかなり高評価でしたし、最後なんかもうキュンキュンしちゃいましたよ。
過去に見た韓国映画に対する私個人の印象でいうと、韓国の映画って情感を揺さぶるのがうまい作品がすごく多いです。そしてこの作品もその例にもれず、見ている間中、気持ちがあっちこっちに引っ張りまわされて大変でした。
「そういえばどこかでこれと似たような話の映画を見たなあ...」と思ってtwitterでツイートしたのですが、本作はチャップリンの名作「街の灯」をモチーフに描かれた作品だと教えていただきました。「街の灯」は未見なのですが、あらすじをあらためて確認するとたしかに物語の下地をこの作品のベースにしているのが読み取れます。物語の枠組みはそのままに、味付けをやや現代っぽくするだけでこれほどおもしろくなるのであれば、ぜひこういう過去の作品をアレンジするという試みはもっとやってほしいなと感じました。
ただ、ところどころシーンとシーンのつなぎが少し雑だったり唐突に展開するシーンがあったり、さらにジョンファは目が見えないのか悪いだけなのかが状況や演技から読み取るのが私には難しくて、話に説得力が欠けていると感じるところがありました。
そこがもうちょっとよければな...という想いはありますが、とは言え、全体としてみればかなり私好みの作品でしたし、ぜひもう一度観に行きたいと思っています。
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*1:これは決してバカにしているわけでなく近くにいそうなレベルに見えるギリギリのラインという高難易度の美しさなのです