「映画 けいおん!」見たよ


放課後の軽音部部室では、いつもどおりお茶して楽しくおしゃべりする5人の姿が。唯、澪、律、紬の4人は卒業を控え、話題は「卒業旅行」の企画に。それを聞いた梓も卒業旅行へ参加することになった。各自が行きたい国を挙げる中、くじ引きで“ロンドン”に行くことに決定! 旅行の準備に胸躍らせる5人だったが…。

『映画 けいおん!』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮で観てきました。

ネットではよくその名を見かけていたので人気のあるアニメだということくらいは知っていましたが、いままで一度も観たことがなくて今回が初めての「けいおん!」鑑賞でした。さすがに登場人物の名前くらいはおぼえてから観に行こうと思い、twitterで参考になるサイトを教えていただいてから観に行ってきましたが、その程度の知識で観ても十分に楽しめる作品でした。


おせじも誇張も抜きにしてたいへんおもしろかったです。


本作を観おえてから「そういえば観ている2時間一度も不愉快に感じたり、イライラさせられたりすることが一度もなかったなー」ということに気付かされ、おどろいたというか感心してしまいました。登場人物はだれもがみんな仲が良く争うことはないし、繰り返される日常もたいへん穏やかで心をささくれさせるような出来事はなにひとつ起きないんですよね。


唯一イベントらしいイベントである卒業旅行も、ハプニングも含めて楽しいことばかりであり、すべてがつつがなく進み、なんのトラブルもないんです。本当にただただ楽しい思い出づくりのイベントとして卒業旅行が描かれているわけです。


まさに幸せなことだけが永遠に続く理想郷みたいな世界を描いているのが本作の特徴でして、ずっとほわほわしながら観てました。


ただ、不思議だったのはそういうあからさますぎる理想郷をわたしも含め、みんな自然と受け入れているところだったのです。

というのは、基本的に幼い頃からテレビやネットをとおしていろんな情報に触れてきている年代の人たちってものすごく情報の真偽に敏感なんです。それこそ、きれいごとだったり作り物なんかはすぐに見分けてしまうし、そういうものはすぐに見向きもされなくなってしまいます。

だからこの作品のような「本当にそんな世界あるの?」という世界がこれほど多くの人に受け入れられているのが不思議だったし、そもそもわたし自身がそういったきれいごとのお話が嫌いなのでなぜこんなふうに真正面から受け止められるのか疑問に感じていました。
もちろんこの世界が作り物の世界だというのはみんなわかっていて楽しんでいるというのはわかるんです。でもなんかうまく言えないけど、ここまで引き込まれる理由がわからないというか「こんな世界あるわけないじゃん」って言えない自分におどろいちゃったんですよね。


で、いろいろと考えていて思いあたったのですが、この作品では理想郷をただきれいに描くだけでなく徹底したリアリティで彩りながら描いているんですよ。そこがきっとこの作品をただの夢物語ではなく、自分の世界と接点のある物語として感じさせるポイントではないかなと思うわけです。

具体的にはたとえば旅行に行く日のシーンがとても印象的なんですが、朝の駅に集まるシーンや空港で飛行機を見つけてわーわー興奮するシーン、あとは飛行機が離陸する瞬間に唯がやたらと興奮するところなんかものすごく伝わってくるんですよね。
セリフひとつ、振る舞いひとつのものすごく細かいところまで共感をおぼえてしまうのです。


作品全体としては夢のような世界を描きながらも、そのひとつひとつを構成する要素には徹底したリアリティをもたせているところがこの作品のよかったところかなと。


あと、すぐにおもいつくよかった点は以下の2点です。

登場人物のキャラクターが需要に対して網羅的である点

この作品の主軸となるのは唯、澪、律、紬、梓の計5名ですが、この5名はそれぞれとても個性的でいわゆるキャラが被っている者同士というのがいません。そしてそれぞれがたいへん魅力的に描かれていて、観ているうちにこの5人のうちのだれかには興味がもてるというか思い入れをもちやすくなっているので、地味と言えば地味すぎるくらいの日常だけの物語も楽しめるようになっているように感じました。


ちなみにこの作品だけで判断すると、わたしは梓が一番好きかな。
あずにゃんペロペロ*1

男性キャラクターがほとんど出てこない点

作品への高評価の一番大きな理由はこれじゃないかなと思うんですが、作中に男性キャラクターがほとんど出てこないんですよね。少なくとも主要メンバーが異性に心をときめかせるようなそんなシーンはいっさい出てこないんですね。


もし登場人物の恋愛沙汰なんてのを描いちゃったら、恋愛感情という日々変化する感情を描かなければいけなくなるので永遠に繰り返される日常なんて描くことは出来ないんですね。


一例を挙げると、日常系のはしりというか元祖ともいえる「サザエさん」を思い出していただきたいのですがあれにはそういった色恋沙汰はいっさい出てきません。カオリちゃんや早川さんにカツオが色目を使うのがせいぜいといったところですが、それだってカオリちゃんも早川さんも男性陣には微塵も気を許すそぶりは見せません。


え?サザエさんには花沢さんとカツオのラブロマンスがあるだろう?って。
いやいや、あれは花沢さんが花沢不動産の跡継ぎ欲しさに捕食行動を行っているだけでラブロマンスでもなんでもありません。お金と狡猾さと図々しさをあわせもっている上にかわいくもなければ好みでもない子に好かれるだなんて、ほんと迷惑な話ですよ...。カツオ気の毒。


話がずれちゃいましたが、繰り返される日常を壊す要素にしかならない異性キャラクターを徹底して排除しているところはうまいなと思いました。他の日常系に分類される作品もそうなのかなとちょっと興味がわいてきました。



と、いろいろと書いちゃいましたが、理由はいろいろあるでしょうがたいへんおもしろかったので、アニメを観てからもう一度観に行きたいなと思ったのでした。


(関連リンク)


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*1:なんでペロペロっていうのかは知らないけど...