「笑う招き猫」読んだよ

笑う招き猫 (集英社文庫)

笑う招き猫 (集英社文庫)

男と並んで愛誓うより、女と並んで笑いを取る、それが二人のしあわせなのだ!駆け出しの漫才コンビ、『アカコとヒトミ』。超貧乏で彼氏なし、初ライブは全く受けずに大失敗。おまけにセクハラ野郎の先輩芸人を殴り倒して大目玉。今はぜんぜんさえないけれど、いつかはきっと大舞台。体に浴びます大爆笑―。夢と笑いとパワーあふれる傑作青春小説。第16回小説すばる新人賞受賞作。

http://www.amazon.co.jp/dp/4087460061

表紙がとにかく印象的で、本屋で何度もみかけた記憶があるのですが今回ナツイチのラインナップに加わったのでこの機会に読むことにしました。ちょっと太目で小っちゃいアカコと、細くて背が高くてヒトミのデコボコな二人が漫才コンビとして頑張るという、言ってみればただそれだけのお話なんですが、ユニークな設定と平凡なテーマがとてもよく混ぜられていておもしろかったです。


アカコとヒトミには漫才だけで売れたいというつよい希望があり、それはライブで客を笑わせることに対するこだわりであり、そしてテレビのようなつまらなくても受けてしまう人たちに対する強烈な反発でもあります。自分たちはずっとライブでやりたいんだと思っていたのですが、実際にやってみたら自分たちの才能はライブよりもテレビの方にあったと気付かされるのです。


やりたいこととできることの乖離。

わたしが「自分がやりたいこと」と「自分にできること」が違うことに気付いたのは22歳の大学院生の時でした。
それでもやりたいことにこだわりたいと思ったのですが、結局わたしは自分にできることをやっていくことでしか生きていくことはできないと判断し、やりたいことは諦めて出来るをやって生きていくことを決意しました。やりたいことを全うするだけの熱意が自分にはないことになんとなく気付いてしまったんですよね...。


やりたいことを選ぶのか、それともやれることを選ぶのか。
その悩みがなんだか懐かしくって、お笑いの世界なんて目指したこともないのにすごくのめり込んでしまいました。