「十七歳だった」

十七歳だった! (集英社文庫)

十七歳だった! (集英社文庫)

17歳。楽しくてムチャムチャ充実している一方で不満だらけ。自意識過剰で、恥しくって、キュートな愛すべき時代。身悶えしながら書いた恋文で呼び出し川原での早朝デート。不良志願の第一歩、隠れ煙草。下半身の“暴れん坊将軍”に苦しめられ、深夜の自動販売機で決行するエッチ本購入作戦。カッチョ悪い小豆島家出事件の顛末。思い出すたび胸の奥が甘く疼く、ハラダ君の愉快でウツクシイ高校青春記。

http://www.amazon.co.jp/dp/4087484904

高校生2年生の頃。
きっかけが何だったのかすっかり忘れてしまったのですが、なぜか将来は岡山県に住みたいとつよく願っていた時期がありました。そもそも、東京以西の地理にはかなり疎くて岡山がどこらへんにあるのかもわかっていなかったはずですし、当然一度も岡山には行ったことがなかったはずですが、とにかく岡山県に行きたい、住みたいと毎日毎日思い続けていたのです。
外からの影響を受けやすいわたしのことなので、きっと読んだ本の舞台が岡山だったとか、もしくは好きな芸能人の出身地が岡山だったとかそんな程度なんじゃないかと思うのですが、でもわたしの本気度は相当なものでして、進学先は岡山の大学にしよう!と考えたりして絶対に岡山に住むつもりで毎日を過ごしていたのです。


繰り返しますが、わたしは岡山がどこにあるのかもちゃんと分かってませんでした(笑)
でも行ってそこに住みたかったのです。


結局、遠すぎて現実的じゃないということで岡山に住むことはありませんでしたが、実はいまでも岡山県にはほのかな憧れの感情を抱いてまして、機会があればいつか住んでみたいと思っているのです。「八日目の蝉」とか観てあらためてその想いを新たにしたりしてます。


最初から話がそれてしまいましたが、本書は17歳の頃の出来事をなるべく大人フィルター*1をとおさずに書き上げたすばらしい作品でした。きれいごとでは済まない、ドロドロとしたスムージーのような粘性のある想いを両手いっぱいに抱えた10代の頃の得も言われぬ整理しようのない感情がとてもまっすぐな言葉でつづられていてよかったです。


そして、本書の舞台となっていたのが、わたしの憧れの地でもある岡山県でしたので、これはもうわたしが過ごしたかった高校時代がここにすべてあるんじゃないかと思うと読まずにはいられず、どんどん読み進めてしまいました。ただ、方言以外はわたしの過ごした高校時代や取り巻く環境と何も変わらなくて、どこに住んでてもそんなに変わらないんだなということがわかっただけでも本書を読んでよかったなと感じたのでした。

*1:過去のいろんな思い出を勝手に美化してしまう恐ろしいフィルターです