- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/09/17
- メディア: 文庫
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1978年4月。18歳の久雄は、エリック・クラプトンもトム・ウェイツも素通りする退屈な町を飛び出し、上京する。キャンディーズ解散、ジョン・レノン殺害、幻の名古屋オリンピック、ベルリンの壁崩壊…。バブル景気に向かう時代の波にもまれ、戸惑いながらも少しずつ大人になっていく久雄。80年代の東京を舞台に、誰もが通り過ぎてきた「あの頃」を鮮やかに描きだす、まぶしい青春グラフィティ。
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主人公の久雄が、生まれ育った名古屋を出て東京に住み始めからの10年を描いた作品ですが、ずっと住んでいた土地を離れて暮らす私には共感をおぼえるところの多い作品でした。舞台となった年代も場所もまったく無縁なのですが、わがことのようにのめり込んで読みふけりました。
とてもおもしろかったです。
「ひと一人一人の人生はどれ一つ同じものなんてない」のは当たり前と言うか、親も違えば住んでる場所も違うわけですからまったく同じになんてなりようがないわけですが、逆に人生のマイルストーにあたる出来事を中心に抽象化して構築し直してみると「ひとの人生なんてどれも同じようなもの」という答えになるかなと本書を読みながらふと思いました。
それと、本書が舞台としているのはわたしの生きてきた/生きている時代よりも20年から30年ほど前のお話ばかりでしたが、読みながら「作品の舞台を10年代という現在に時代に置き換えてこの本を書いたらどうなるだろうか」なんてことを考えずにはいられませんでした。