「さがしもの」読んだよ

さがしもの (新潮文庫)

さがしもの (新潮文庫)

「その本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」、病床のおばあちゃんに頼まれた一冊を求め奔走した少女の日を描く「さがしもの」。初めて売った古本と思わぬ再会を果たす「旅する本」。持ち主不明の詩集に挟まれた別れの言葉「手紙」など九つの本の物語。無限に広がる書物の宇宙で偶然出会ったことばの魔法はあなたの人生も動かし始める。

Amazon CAPTCHA

本と個人とのユニークな関係性をテーマにした短編集ですが、とてもおもしろかったです。
あとがきで著者も書かれているとおり、異性との関係と同じように本と個人との関係はとても個人的なもので普遍的なかたちなんて存在しません。多読を心掛けている人もいれば、一字一句を見逃さないようにゆっくりと反芻しながら読む人もいます。本の読み方や選び方なんて、自分ではそれが当たり前のことだと思ってあえて語る人はほとんどいませんが、でも実はそれが普通であるという保証はどこにもなく、むしろ当たり前と思っているこういうことにこそその人らしさというかパーソナリティが出る部分だったりするんだよなーと思いました。


計9編の短編集はどれもとてもよかったのですが、その中でも本の趣味がものすごく似ていた男性と別れることになった女性が、本棚からお互いの本を選り分けるというただそれだけの物語「彼と私の本棚」はとてもおもしろかったです。