「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」読んだよ

焼け跡から金貸しの老婆の死体が発見された。体には十数ヵ所の刺し傷があり、焼け残った金庫からはお金も債務者の記録も消えていた!事件を捜査する浜倉中央署の刑事・舞田歳三。彼にはゲームとダンスが好きな11歳の姪・ひとみがいた。行き詰まった事件の謎を、彼女の何気ない言葉が解決へと導く。キャラクターの魅力と本格推理の醍醐味が詰まった傑作推理小説

http://www.amazon.co.jp/dp/4334748082

歌野さんの著書にはいつも驚かされるので、読む前は「今度こそだまされないぞ!」とものすごく斜に構えて読むのですが結局いいようにだまされてしょんぼりするということが多いのですが、本作に関してはそういった作品ではないことが最初から伝わってきたので安心して読むことが出来ました。「だまされないぞ!」と構えて本を読むのってなかなかしんどいのでとてもよかったです。


本書は6つの章からなる短編集なのですが、それぞれの章の主要な登場人物は基本的に同じだし「捜査に行き詰った刑事が姪の何気ない一言にヒントを得て事件を解決していく」という展開もおおよそ変わることはありません。ですが、その変わらないものの中に巧妙に事件や謎を組み入れて展開させていくテンポの良さは読んでいてとても心地よかったです。会話のテンポもなかなか。
それと章内で出てきた謎をすべてその章内で解決していくのではなく、章をまたいで謎が解けていくのはゲーム的というかRPG的な感じがしてなかなか楽しかったです。


タイトルからするとひとみちゃんが探偵になるのかと思いきや、実は全然そんなことがないのが本書一番のサプライズなのかも知れません。