「浦島太郎の真相」読んだよ

浦島太郎の真相―恐ろしい八つの昔話 (光文社文庫)

浦島太郎の真相―恐ろしい八つの昔話 (光文社文庫)

母一人子一人で暮らしてきた四十五歳の娘は七十五歳の母親をなぜ殺害したのか?不明だった事件の動機を、美人大学院生・桜川東子が昔話・浦島太郎の大胆な新解釈で解き明かす(表題作)。日本酒バーで益体もない話を繰り広げる常連二人とマスターのヤクドシトリオ。彼らが解けない事件の謎を昔話になぞらえて次々と解決する東子の名推理。鯨ミステリーの妙技が冴える。

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本書は前半が「おっさんの思い出談話」、後半が「現代の事件を昔話との類似性を解き明かす話」で構成された8つの短編集です。
後半部分の「現代の事件を昔話との類似性を解き明かす話」は、昔話として語り継がれているお話(表題でもある浦島太郎や桃太郎などなど)がどういった経緯で語られるようになったのかとか、どういう背景があって描かれてどんな意図が隠されているのかということが分かりやすく丁寧にまとめられていてとても面白かったです。何となく、ずいぶん前に話題になった「本当は怖いグリム童話」を思い出しました。


本当は恐ろしいグリム童話 (WANIBUNKO)

本当は恐ろしいグリム童話 (WANIBUNKO)


そんなわけで後半部分は文句なしに面白かったのですが、前半の「おっさんの思い出談話」が長過ぎて長過ぎてホント飽きてしまいました。しかも話題の中心がわたしが生まれる10年以上前の話ばかりなので全然わからなくてつまんないし...。


最初にも書いたとおり本書は8つの短編集でしてひとつひとつの話はおおよそ40〜50ページで構成されていますが、そのうち、この前半に該当する部分はおおよそ半分の20〜25ページ程度続きます。しかもこの前半部分はほとんど後半とは関係がないため、別に読まなくても後半を読むにはほとんど影響がなくて本当にただ思い出話を延々と語られるだけなんですよね。。。
これ、同年代の人が読んだら「あー、わかるわかるw」っていう感じになるんでしょうが、ぶっちゃけわたしは全然そんなふうには思えなかったし、正直ここを読むのはホントしんどかったんですよね。でも後半部分が面白かったので、何とか前半を乗り切ろう....と自分を鼓舞して何とか読み切りました。


慣れてくれば前半も前半で楽しめるのですが、でも前半が無い方がかなり良書だったんじゃないかと思います。
後半部分で語られる昔話の解釈はすごく面白かっただけに、前半の蛇足さが正直残念でした。