- 作者: 初野晴
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2010/07/24
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穂村チカ、高校一年生、廃部寸前の弱小吹奏楽部のフルート奏者。上条ハルタ、チカの幼なじみで同じく吹奏楽部のホルン奏者、完璧な外見と明晰な頭脳の持ち主。音楽教師・草壁信二郎先生の指導のもと、廃部の危機を回避すべく日々練習に励むチカとハルタだったが、変わり者の先輩や同級生のせいで、校内の難事件に次々と遭遇するはめに―。化学部から盗まれた劇薬の行方を追う「結晶泥棒」、六面全部が白いルービックキューブの謎に迫る「クロスキューブ」、演劇部と吹奏学部の即興劇対決「退出ゲーム」など、高校生ならではの謎と解決が冴える、爽やかな青春ミステリの決定版。
http://www.amazon.co.jp/dp/4048738984
- 作者: 初野晴
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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廃部寸前の弱小吹奏楽部を立て直し、普門館を目指す高校2年生の穂村チカと上条ハルタ。吹奏楽経験者たちに起きた謎を解決し入部させることに成功していた2人だったが、音楽エリートの芹澤直子には断られ続けていた。ある時、芹澤の伯母が高校にやって来た。「初恋研究会」なる部に招待されたのだという。やがて伯母の初恋に秘められた、40年前のある事件が浮かび上がり…(表題作より)。『退出ゲーム』に続く“ハルチカ”シリーズ第2弾。
http://www.amazon.co.jp/dp/4043944551/
昔から高校を舞台にした作品が大好きなのでそういう作品を見つけては読んでみるのですが、いずれもそれなりにいい作品なのですが、これが読みたかったんだ!と言えるくらい好きになれる作品に出会うことはなかなかありません。
もろ手を上げて褒めちぎりたいくらい好きな作品としては「夜のピクニック」や「武士道シックスティーン」シリーズ、あとは「檸檬のころ」なんかがすごく好きです。スポーツものだと「DIVE」もすごく好きです。
そんな中にあってとりわけお気に入りなのが、米澤穂信さんの「氷菓」シリーズはすごく大好きな作品です。
得意なものは何もないということを自負し、日々を省エネルギーで過ごすことに全力をそそいでいた折木奉太郎が、ひょんなことから古典部に入ることになり、さらにそこで出会った人たちによって学内の不思議な出来事を解決する立場に立たされるというお話なんですがこれがもう超おもしろいんです。
登場人物の誰もが個性的で魅力的なので、一度出てきたら忘れることがないくらいキャラ立ちしているし、学内で起こるハプニングはいかにも起こりそうなリアリティと「こういうことが起きて欲しい」という妄想をバランスよく配分されているのです。
しかもシリーズが続いていってもその魅力が色あせることはなく、むしろ物語を重ねるごとにどんどんおもしろくなっていくというすばらしいシリーズなんです。わたしが死ぬまで続いて欲しいと本気で思ってます。
さて。
今回読んだ「退出ゲーム」と「初恋ソムリエ」も、「氷菓」シリーズと同じように高校生が学内の謎を解いて回るというお話でしてそして続き物となっています。「退出ゲーム」が一作目で「初恋ソムリエ」はその続きです。
主たる登場人物は穂村チカと幼馴染の上条ハルタ、そして二人を取り巻くさまざまな人たちという構成でして、「氷菓」シリーズ同様に文化系の部活に所属する人たちが中心となって物語は紡がれていきます。
まず読んでみての率直な感想としてはおもしろかったです。
主役の二人にはそれぞれにしっかりとした役割をもたせつつ、それを中心に謎をもちあげてはうまく解決していくそのプロセスをおもしろおかしく描いていて楽しく読み進めることができました。
ただ、おもしろいということは前提としたうえで申し上げたいのは全体的に印象が薄いと感じました。
たとえば登場人物が増えれば増えるほどどんどん影が薄くなっていくように感じました。あと学内で起こる謎についても、話が大き過ぎるというかいまいちピンとこないものが多くて素直に楽しむことができませんでした。
どうしても同ジャンルの「氷菓」シリーズと比べてしまうので、そこに足りない部分を不足として見てしまうんですよね...。優秀すぎる先駆者がいると後発は大変だなという思いを新たにしました。
フォローするわけではありませんが、作品はすごくおもしろかったので続編が出たらぜひ読んでみるつもりです。
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