20年間、音信不通だった父の死の知らせを受け、ヘグク(パク・ヘイル)は、父が暮らしていた山奥の村を訪れる。村長(チョン・ジェヨン)の手伝いで葬儀をすませたものの、父の死因は明かされない。村の様子がおかしいことに気付いたヘグクは父の死因を探り始める。やがて浮かび上がる村の秘密、父の素顔、村長の正体、30年前に起こった祈祷院での集団殺人事件。果たして父の死の真相は、30年前の事件の真相は?
『黒く濁る村』作品情報 | cinemacafe.net
宇都宮ヒカリ座にて。
客観的な証拠を持たない過去を語ることがいかに難しいのかということをとてもうまく描いた素晴らしい作品でした。
上映時間が161分とかなり長尺でしたが、終始まったくだれることなく楽しく鑑賞できました。超面白かった!
次の展開が気になって夜も眠れなくなりそうなくらい惹きつけるストーリーもよかったし、何よりも村社会特有の閉鎖的な空気や田舎の権力者の怖さみたいな表現がすごくうまかった。最終的にはものすごいサプライズがあるわけではないけれど、でもオチの付け方も非常に秀逸で満足度の高い出来に仕上がっていました。
これはいい!すごくいいです。
この作品で感心したのは、記憶というものがいかに曖昧であり厄介なものであるのかと言うことがとても巧妙に組み込まれていたことです。
事件に限ったことではありませんが、何か過去の出来事を明らかにしょうとした時に客観的な情報以外で重視されるのは「関わった人たちの証言」です。その場に居合わせた人、第一発見者など、何らかの形でかかわった人から話を聞くことでその当時の出来事を再構築しようとするわけです。
ところが記憶と言うのはとても曖昧ですから、意図的かそうかに関わらず、事実とは異なる情報が必ず入り込んでしまいます。そして悲しいことに、事実を知らない人にとっては事実とは異なる部分がどれなのかを判断する術はありません。結局、多くの証言から最大公約数的に事実を推測することしか出来ないのです。
本当に知りたい過去があったとしても、その場で観ていない人にとっては永遠に真実を知ることは出来ないという事実。
無常というのも違うのかも知れませんが、観終わって残ったのはこの世に生きることの空しさみたいな感情でした。こういうインパクトのある作品は大好きなのでとてもよかったです。
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