- 作者: 鈴木義幸
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/09/18
- メディア: 単行本
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ちょっとしたことの積み重ねで風通しのいい職場をつくれます。コーチングのプロが教える32のうまいやり方。
http://www.amazon.co.jp/dp/4478011621
「人は環境の生き物」とはよく言ったもので、大抵の人は自分の置かれている環境から大きな影響を受けながら生きています。
楽しい場所に居れば気持ちも沸き立ってくるし、逆に暗く会話もない場所にいれば自ずと気持ちも滅入ってしまいます。そんなふうに周囲の影響なんか受けない人もいるのかも知れませんが、多くの人にとっては自分のいる場所がどういう雰囲気なのか?ということはその人の生き方を左右するくらいとても大きなファクターであると言えます。
では「人は置かれた環境の影響を受けることしか出来ないのか?」と言うと、半分正解で半分は間違ってると思うわけです。
端的に言えば、半分正解だという理由は「他人を変えることは難しいことであって容易には実現できない」からであり、半分不正解というのは「厳密に言えば自分自身もまたその環境を作り上げる一員である」ためです。
だから「楽しく仕事できないのは環境がよくない」というのは一面的には正しいですし、逆に「環境を楽しく変えられる!」というのも同じくらい正しいんですよね。置かれた環境の空気を吸うだけの消費者としての立場を貫くか、自らが環境を作る一生産者としての立ち位置を認めて環境を作る立場にコミットするかその違いしかないんです。
わたしは基本的に面倒なのが大嫌いなので能動的に動くよりも環境に甘んじる消費者でいることが多いのですが、それでもどうしても我慢できない時には作る立場を選べる人間でありたいと思っているし、特に一日の大半を過ごす職場という環境に対してはそういう想いを強く抱いていました。
そんなわけで職場を変えるためのノウハウを知りたいと思った本書を手にしたのです。
本書でとても印象的だったのは、思ったことを言ってくれない人に考えていることを話してもらうための接し方について書かれていた部分です。ちょっと抜粋します。
「とにかく話を聞いてあげる。一つの反論もせず、すべてに同意するという覚悟で。反抗している学生は、ほんのちょっとでも自分が否定されると思ったら口を開きません。だから、目で表情で彼を受け入れる。そうすれば彼らは口を開きます」
口を開いてからの対処にしかたも教えてくれました。
「1時間話を聞くなら59分は同意する。『あんな練習じゃだめですよ』と言ってくれば『改善点多いよな』と答え、『絶対優勝なんて無理ですよ』と言ってくれば『可能性低いよな』と答える。ただ、最後の1分だけは、『でもな、俺はお前たちに優勝してもらいたいんだ』と、こちらの想いを伝える」
わたしも最近は些少ながらも思ったことを主張できるようになってきましたが、以前はなかなかそれが出来ませんでした。理由はいろいろとあるのですが、一番大きかったのは思ったことを主張した時に頭ごなしに否定される経験を繰り返してきたことが影響していると思います。
何を言っても否定されると思うと、もう最初から言う気がなくなってしまうんですよね。
だからこの部分で書かれているように、自分の意見の多くを肯定してもらえるというのはすごく嬉しいし、自信につながるというのが分かるんですよね。
だけど、そうすることが有効だというのはわかっててもこれがまた難しいというのも私は知ってるんですよね。
誰かの言うことを全部肯定するということは、言い換えれば自分の意見を胸の奥に押し込めておいて相手の意見を飲み込む(もしくは飲み込んだふりをする)ことなのです。相手が誰であっても自分以外の意見を100%肯定し続けることを想像すると、わたしはものすごく心理的な抵抗を感じるのです。
実際にこれを一度やってみたことがあるのですが、途中でついつい自分の意見を言ってしまってまったく実践できた気になりませんでした。
また挑戦してみよう。。。
スイッチと言われるとすぐに押せそうなものを想像してしまいますが、世の中そんなに甘くはなくて簡単に出来るものはあまりないんだなあ....ということを思い知らされたのでした。