- 作者: 樋口裕一
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2006/06/01
- メディア: 文庫
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「言いたいことがうまく言えない」「わかってもらえない」―そんな人はきっと、頭の中がきちんと整理できていないからだ。ポイントのつかみ方、発想法、筋道の立て方など、あなたを変えるワザ満載。もやもやした頭もこれでスッキリ!身のまわりのものごとを整理し、シンプルかつ論理的に考える力を身につけ、フクザツな世の中を乗り切る。
http://www.amazon.co.jp/dp/4479300341
わたしは他人がどんな本を読んでいるのかということはとても知りたいと思う反面、逆に自分の読んでいる本はあまり周囲の人には知られたくないと思っています。この2つの考えは根っこは同じ部分にあると理解していて、つまりどういう本を読んでいるのかがわかれば、その読んでいる人自身の考えや嗜好だけでなくいま何に悩んでいるのかまで丸裸になると思っているからなのです。
特に今回紹介するような本を読んでいるのを見られると「お!こいつ話ベタなの気にしてるのか」なんて思われちゃうんじゃないかと冷や冷やしちゃってねえ...。考えすぎなんだろうなとはわかっているんですが、一度そう思ってしまうとなかなかその意識は変えられないものです。
さて本題。
この本を手に取っていることからなんとなくお分かりのとおり、わたしはとても口下手で大勢の前で話すのはもちろんのこと、数人で話したりするときでもなかなか自分の考えや意見を伝えることが出来ません。わたしが話せば話すほど、そこにいる人たちは迷宮に迷い込んだようにしかめっ面をし始めることもしばしばです。
さらに決定的にどうしようもないのが、話している途中なのに自分でも何を言っているのかわからないというか怪しくなることも少なくないということです。相手にうまく伝えられないだけでなく、自分でも何を言っているのかわからなくなるというのはもはや人としてダメなんじゃないかと不安をおぼえるレベルだと思うのですが、それでも何とか給料をもらえる程度に働いていて家族とも仲良くコミュニケートできているのでとりあえず人間の最低レベルはクリアできているんじゃないかと期待しているのです。
でも出来れば自分の考えをもっと的確に伝えたいと思ったのですが、そのためには自分の考えをちゃんと整理できるようにならなければならないと思い立って本書を手に取ったわけですが、本書は実例を題材として「論理的に話すことの必要性」を繰り返し述べたり、さらに伝えるための具体的な方法論について説明がされていて非常に参考になります。自分の意見と逆の意見をあえて考えてみることで自身の意見を補強するといったことや、共感できる相手とだけ付き合うのではなく理解し合えない相手と議論を交わして相手に理解をしてもらえるようはたらきかける大事さについて書かれた部分はなるほどと感心させられました。
その中でわたしがやってみたいと思ったのは、好きなもの/嫌いなものをただ感情で表現して終わるのではなく「なぜ好きなのか/嫌いなのか」を突き詰めて考えてみようというものです。本を読んだり映画を観たときに、ただおもしろい/つまらないという意見で終わるのではなくその理由を考えるよう習慣付けてみようと思ったのでした。
意外に、というと失礼な言い方になってしまいますが、期待していた以上に読みやすく内容も充実したすばらしい本でした。
わたしのように話下手だったり、考えがうまくまとまらない人にはおすすめです。