「ロビン・フッド」見たよ


時は12世紀末。十字軍の兵士としてフランスで闘っていたロビン(ラッセル・クロウ)。だが偶然にもイングランドの騎士ロバート・ロクスリーの暗殺現場に遭遇したことから、ロバートの遺言とロバートの父・ウォルターに剣を届ける役目を引き受けることに。無事ノッティンガムにたどりついたロビンだったが、今度は自身の出生の秘密と引き換えにロバートの身代わりになってほしいと提案される。封印され幼少時代の記憶を取り戻したい一心で提案を受け入れたロビン。彼の運命は徐々に変わり始めていた…。これまで幾度となく映像化されてきた、英国の伝説の英雄ロビン・フッドの物語をリドリー・スコットラッセル・クロウのコンビで映画化。

『ロビン・フッド (2010)』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。
予告を観た限りではそれほど面白そうな印象は受けなかったのですが、実際に観てみてびっくり。ものすごく面白かったし、何より世界観の作り込みがとにかく半端じゃなくて物語の世界にズズっと引き込まれてしまいました。
わたしは上映時間が120分以上の長い作品があまり好まないし、そもそも歴史にも疎くてこの時代背景すらちゃんと理解できていないくらいなのですが、そんなわたしが148分という長さを一切感じず、見も知らない時代の物語を最後までその世界観に浸りきって楽しめたというだけでも相当すごいことだと思います。ホントに。
正直、観るまでは年末年始用の大作だと侮っていましたが、これは文句なしで面白かったです。


本作を観ていて感じたのは、時間や出来事の積み重ねについて。
いま、この時代がこんな形で存在していてそこに自分が存在しているという事実について、深く考えたことはあまりありませんでした。もちろん過去にもまったく考えたことがないかというとそんなことはないのですが、ただ、わたしは過去に起きたことは偶然に起きたものなのか必然的なことなのかと問われればそれは「必然的に起きたことしか世の中にはない」と言うだろうし、それがわたしの信じている事実です。
世の中に起きたことや今起きていることに偶然なんてものは絶対にないんです。
そんなのは結果論だと言われたら返す言葉はありませんし、そもそもこう考えるようになったきっかけって高校生の時に読んだアインシュタインの本に書かれていた「神は賽を投げない」という言葉に影響を受けたのですが*1、でもたとえこの世の物理現象が決定論では描写出来ず、確率や統計でしか表現できないとしてもわたしの考えは変わりません。世の中で起きる出来事に偶然はないと信じています。


作中では、物語を動かすさまざまな出来事が起こるのですがそれらの中には偶然としか言えないようなものもいくつもあります。
例えばロビンがロクスリーたちが襲われた現場にタイミングよく出くわしたり、そのロクスリーの父親との間には過去に不思議なつながりがあったりします。そのいずれかひとつでも欠けても話が進まなくなるほど決定的な要素になっていますが、そのいずれも起こる確率だけ考えればとても低くてちょっとした変化で起きなかったかも知れないことばかりなのです。


だけど、起きる確率が低いにも関わらずこれらのイベントが起きたという事実。
それらが整合性を保ってつながり、ひとつの物語が紡がれた事実が、すべては必然的に起きたのだと信じさせてくれるのです。


もちろん偶然が重なってこんなことが起きることも否定は出来ませんし、そのことを奇跡と呼ぶことも否定しません。
でもわたしはそういった偶然の積み重ねによる奇跡を信じるよりは、世の中の出来事はすべて必然だと考える方が好きなんです。もしこの世に偶然があると思ってしまうと、わたしは挫折をしたときにとても立ち直れません*2


話が映画からとてもはずれてしまいましたが、どのように時間や事実が積み重ねられて時代が作られていくのかということを伝えてくれる作品でした。また、中世ヨーロッパというわたしには縁遠い時代を舞台にしていながら、まるで時空に穴をあけてその時代をのぞいているような、匂いさえも伝わってくるリアリティある映像もとてもよかったです。


公式サイトはこちら

*1:何て書くと「バカだなあ...w」と言われそうですが、でも物理が大好きだった高校時代の私にとってはアインシュタインの言葉ってものすごい影響力があったんですよね。

*2:このことはわたしが口下手なのもあって伝わらない人にはいくら言葉を重ねても伝わらないし、文字だけだとちょっと怪しい人の戯言にしかならないのでこれ以上は書きません。