- 作者: 白石一文
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/09/25
- メディア: 文庫
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恋愛、仕事、結婚、出産、家族、死…。大手企業に勤務するキャリア女性の29歳から40歳までの“揺れる10年”を描き、「運命」の不可思議とその根源的意味を鮮やかに描いた書き下ろし900枚、待望の刊行。
http://www.amazon.co.jp/dp/4048736078
人生で起きたさまざまな出来事は偶然なのか、それとも必然なのかと考えてみると、わたしはすべて「必然」だと考えます。
過去に自分が選び取った行動がいまの自分を決定づけているとすれば、いまこの状態で起こることはすべて必然だと言い切ってもいいんじゃないかと思います。そしてわたしが知る限りでは同じように必然だと思っている人は一定数いるようなのですが、ところが必然だという人の中にはそれを「運命」だという人が多くいました。
つまりこの世に起こるすべてのことは最初から決まっていたのだということを言うわけですが、世の中で起きているすべてのことが必然だという点には同意しますが、それを運命という言葉でくくることはとても同意しかねるのです。全然意味が違います。
運命という言葉の響きは嫌いではありませんし、自分に起きたことすべてを受け入れる理由としての「運命」には共感しますが、そうじゃない場合の運命にこめられた響きは正直苦手です。
本作は4ヶ月くらい前に買った本でして、実は途中で読むのを一度止めているのですがその理由がこの「運命」という言葉にこめられた不快な響きが嫌だったからなのです。
ただしばらく読まずにおいておいていたのを久しぶりに読んでみたら、一人の女性の人生を大局的な視点からとらえている点がとてもおもしろいと感じて最後まで読むことができました。もちろん、運命という言葉に対する違和感はぬぐいきれませんでしたが、それでも作品としての出来のよさにはとても感心させられたし、好き嫌いを超えたよさが伝わってくるとてもよい作品でした。
これで内容にシンパシーを覚えたら相当好きになっちゃいそう。