「台北の朝、僕は恋をする」見たよ


台北に暮らしていたカイ(ジャック・ヤオ)は、大好きな恋人がパリに留学してしまい、フランス語の本を読みに本屋に通う寂しい日々を過ごしていた。店員のスージー(アンバー・クォ)は、そんな彼が気になって仕方がない。どうしても恋人に会いに行きたいカイは、地元のボスに借金をすることを決意。その条件に謎の小包を運ぶ怪しげな仕事を引き受ける羽目に…。それはスージーを巻き込む、スリリングな一夜の始まりだった――。

『台北の朝、僕は恋をする』作品情報 | cinemacafe.net


フランスに行ってしまい連絡がつかなくなってしまった彼女に会いに行くための費用を稼ぐために怪しげな仕事を引き受けたら妙なことに巻き込まれてしまって...というお話でしたが、スリリングな展開とは裏腹に、終始緊張感など感じられないほのぼのとした作品でした。

夜の街で偶然会った顔見知りの男女が夜の台北を歩き回るというシチュエーションがとにかくよかったし、台北の空気を存分に満喫できたので心底満足できました。一晩中、夜の街を歩き回った二人が別れるところなんかビフォア・サンライズっぽくもあってそこもまたグッときました。


本作の主人公のカイは恋人といっしょにパリへ行こうとしていたもののお金がなくてけぼりを食ってしまい、毎日本屋でフランス語の本を立ち読みして過ごしています。

つまり遠距離恋愛中というわけなのですが、わたしは遠距離恋愛は二人が同じくらい相手を想っていないと即成り立たなくなるサドンデス方式の恋愛形態だと思っています。そしてそれが正しいと仮定するとカイが彼女を想う気持ちの方が圧倒的に重いという時点で別れることは必然であると言えます。別れて当然。

ところが当の本人はそんなことを受け入れられるはずもなく、地元で幅を利かせているおっさんにお金を借りてパリへと旅立つことにするのですが、その代償として荷物運びを依頼されたところから物語は大きく動き始めます。


そして本作のヒロインはカイの彼女ではなく、カイが暇つぶしに通っていた本屋さんの店員スージー

スージーは毎日フランス語の本を読んでいるカイのことが気になって気になってしょうがなくて、本のことを質問したりフランス語のクラスを紹介しようとしたりと何かとカイと接触しようと試みるのですが、カイが恋人を追いかけてパリに行くという話を聞いてがっかりします。



そんなわけでもう会うことはないだろうと思っていたカイとスージーですが、夜の街で偶然再会した二人は一晩歩き回る羽目になるというのは上でも書いたとおり。

本作一番の見どころはスージーを演じたアンバー・クォ。彼女は笑顔も真顔もとにかくキュートで一瞬たりとも目が離せません。
あまりのかわいらしさに映画を観終えてからアンバー・クォのことを3時間も検索してしまいましたが、台湾で人気のアイドルと聞いてなるほど納得しました。ファンクラブがあったら入りたいくらい大好きです。わたしがカイだったらパリにいった彼女のことなんてもうさっぱり忘れてスージーと付き合うなーなんてことを妄想せずにはいられませんでした。


そして作品のラストで、まだほの暗さの残る静謐な朝の風景の中に別れの寂しさをにじませながらも笑顔で佇むスージーの姿を見た瞬間、この作品のタイトルを付けた人のセンスを全力で支持したいと思いました。

台北の朝、僕は恋をする [DVD]

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