優しい両親のもと、森の一軒家で育てられた幼い姉妹、みゆきとかおり。ある真夜中、ふたりは、両親が上映していた16ミリフィルムの中に出現した不思議な白い光を目撃してしまう。その17年後、白い光を浴びた影響で死への誘惑に取り憑かれてしまった姉、みゆきは、ついに自らの命を絶つことを決意する。そんな姉の行方を追って上京してきたかおりは、脳の人体実験を繰り返す母親、悦子と再会。そんな美しき姉妹と狂気の母親を待ち受けていたのは、彼女たちが生きる現実そのものを揺るがす異常な惨劇だった…。
『恐怖』作品情報 | cinemacafe.net
(注意)
以下では結末に触れている部分もありますのでご注意ください。
宇都宮ヒカリ座にて。
設定の面白さにはとても興味をひかれたし、ハッとさせられるような映像的な面白さもあったのですが、全体としてはモヤモヤとしてつかみどころのない印象を受けました。悪くないんだけど、これだ!っていうのがないんだよな...というのが率直な感想です。
脳というのは人体の中でもっとも未知な領域だとよく言われますが、たしかに何かを理解したり考えるという行為自体がとても不思議でとらえどころがないものであり、そんな機能を実現している脳というのはいったいどういった仕組みで機能を実装しているのかとても興味深く感じます。
本作では「身近でありながら未知の存在でもある脳」というものをテーマに掲げることで、映像を通して表現される恐怖を、観る人がよりリアリティをもって感じられるように工夫されていると感じました。そういった点において、設定と映像、演出はとてもうまく絡み合っていて互いに奏功していたと言えます。
ただそういった良さがあった一方で、全体を俯瞰してみるとどうしてもひとつの作品には見えなかったし何も感じなかったのです。
個々のシーンはよかったのに、それらをつなぎ合わせた結果からは何も伝わってこなかったしそういう点において印象がとても薄いと感じたのです。もっとはっきりと言えば面白いと感じさせるようなものになっていなかったんですよね。
怖いだろ?怖いだろ?というだけのホラー映画ではないと思うし、そのあたりはもうちょっと強く主張したら面白かったんじゃないかなと思います。
そしてもう一つ。
ラストがちょっとわかりにくいなと感じました。わたしの理解としては、あの物語そのものはみゆきが死の間際に見た夢なんだろうと思うわけですが、運転手役の彼の頭がパックリと割れていたことから単純に夢だったわけではないことが想起されます。あの光をとおしてみゆきの観ていた夢の中の世界と現実がつながったんじゃないかとかいろいろと考えてみましたが、どれも何だか繋がりが弱くて決定打に欠けます。
まあ、正直ここまで分からないとどうでもいいなとさえ思ってしまうわけですが、こんなふうにいろんな物語を想像出来る作品自体は嫌いではないものの、出来ればもっと明確な何か(答え)を提示してくれてもよかったんじゃないのかなーとも感じました。
あと、女性陣がとてもかわいくて恐怖に顔をゆがませる美人というのはとてもよいものだなと思いました。
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