「君の会社は五年後あるか?」読んだよ

会社にしがみつく時代は、とうの昔に終わっている。優秀な人材が興奮するフィールドがここにある。働きがいのある会社第1位、創業者が語る組織戦略。

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ここでも何度か書いたことがありますが、3年か4年前くらいに本気で転職を考えたことがありました。
「このままここで仕事してていいのかな」とか「東北に戻ろうかな」とか「一緒に仕事をして楽しかった人が辞めちゃったから、もっと面白そうな仕事のできるところに行きたいな」とか、理由はその時々でさまざまありましたが、結局わたしは今の会社を一度も辞めることはありませんでした。
この悩んでいる間、実際に他の企業と連絡を取ったり面接を受けてみたりしたものの最後の一歩を踏み出すに至らなかったわけですが、その理由について考えてみて出た結論は「自分には心の底からやりたいことがなかった」のです。単に「今のままじゃだめなんじゃないか...」という不安を漠然と抱いて行動していただけなので、最後の最後になってその新しい仕事が本当にやりたいことなのか?と自らに問うてもあまりよい感情はわいてこなかったんです。
もっと露骨な言い方をすれば、現状の方がつまらないけど楽だし安定していると判断したんですよね。
いまさらだけど自分自身の思考の短絡さには嫌気がさすなあ...。


それでも今は楽しい仕事を任せてもらっているので大変ながらも仕事自体はすごく楽しいし、そういった意味では過去の私の選択は決して間違っていなかったわけですが、一方で転職しなかったことについてもそれなりに後悔しているところがあって、辞めなかったことが積極的な選択ではなく消極的な選択だったんじゃないかと考えてはそんな臆病で覇気のない自分へのいら立ちをおぼえています。


まず本書を読んだ上で最初に述べておきたいのは、タイトルは釣りタイトルだということと、内容はとても面白かったということ。


わたしがタイトルの意図するところが汲み取れていないだけなのかも知れませんが、本書は優秀な人材をどう集め、どう鼓舞してきたのかということを述べているだけであり、タイトルから想像するような内容はほぼ書かれていません。別にタイトルにだけ惹かれたわけではないのでどうでもいいのですが、ちょっとだけ気になりました。


そしてもう一つ。本書は働く人にとって魅力ある企業を作り上げてきたと自負する著者が、自身のサラリーマン経験と起業をするに至った経緯・動機、そして今に至るまでの道程を書き記しています。この手のお話って基本的に自慢話というか「こんなにすごいことしてきたんだよ!すげーだろ」的なものかと想像してしまうのですが、実際に読んでみるとそうでもなくて、こういう環境で働きたいと思えるような環境作りに腐心したということがたくさん述べられていてとても参考になります。
# ちょっと自慢しているっぽいところもありますが、正常な自社アピールの範囲内だと思います


その工夫や内容、アイディア自体はもちろんとても面白いのですが、何がすごいってそれを実際にやっていることだと思うのです。
いろんなアイディアを出すこと自体はどこでもやっているのでしょうが、それらを実際にやってみようと行動に移すことはとても勇気のいることです。会社で何かをやろうとすると、失敗が怖い、影響が大きければ責任を取らないといけないなど、ダメだった時のリスクについて考えがちですがそういった結果だけをとらえるのではなく、改善しようとする意識やプロセスも評価の対象とすることで、改善への意欲を断たずにいることはとにかくすばらしいと感じました*1


全部が全部このとおりなのかどうかはわかりませんが、理想としてこういう組織があったらいいなということはとても感じたし、わたしにとってはたしかに魅力的に感じる会社だなと思いました。


ただ、読み終えて思ったのは、「こういう会社がいいからここへ転職しよう!」ということではなくて「今の会社でわたしに出来ることはなにか?」ということだったんですよね。
何て言うか、会社の待遇をよくして欲しいとか、こういうカリキュラムで研修して欲しいというのは自分のやりたいことの実現手段としてはあまりに遠回り過ぎてまったく興味がわかないんですよね。わたしは一社員であって経営者じゃないわけですからそういう会社の姿をどうこうしたいという気持ちは全然ないんですよね。
そうじゃなくて、これから一人の人間として生きていく上で必要な力をもっと貪欲に求めていきたいなというのが本書を読み終えての一番の感想です。誰かに何かをして欲しいと思うのではなく、自らがそのやりたいことを強く求めて動けるようになろうと感じました。
わたしは人一倍めんどくさがりでして、大抵の事は面倒だからという理由だけで切って捨ててたので、そこは少し改めたいところです。


最後に、本書の中で5つのワークスウェイというのが紹介されていてとてもいいなと感じたのでここに抜粋しておこうと思います。
この単語にピンとくるものを感じた方は本書を読んでみるとよいかも知れません。

*1:と言いつつ、わたしの性格がねじ曲がってるせいなのでしょうが、あまりにすべての話の耳触りが良過ぎるせいで「本当にそうなの?」と疑いたくなるわけでして、そのあたりはネットやら何やらでいろいろと調べてみようかなと思ってます