「プレシャス」見たよ


1987年、ハーレム。クレアリース“プレシャス”ジョーンズ(ガボレイ・シディベ)は、16歳にして父親の子供を身ごもり、母親にこき使われ、文字の読み書きもできない。理想とは程遠い毎日を送る中、学校を退学させられたプレシャスは、フリースクールに通い始める。そこである教師と出会い、プレシャスは人生に目覚め、学ぶ喜び、そして人を愛し、愛される喜びを知る。それは、いままでに考えたこともないことだった――。

『プレシャス』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。
教育や環境というものが子どもの成長にはいかに大事なのかということと、妄想とは「弱者が過酷な現実から目をそむけて生きるための糧であり知恵である」ということ、そして子どもを持つ女性の強さをつよく印象付けられた作品でした。社会の暗闇の中に押し込められるように生きてきたひとりの女性が、そこから抜け出して光を見つけて強く生きていこうとする姿にとても前向きな気持ちになれました。
ちょっと嫌なことがあると「あーあ...」とすぐに落ち込んでしまう自分がバカらしく感じたし、わたしも強く生きようという気持ちがわいてきたのがすごくよかったです。


先日「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」を観たときにもそう感じたのですが、世の中には本当にいろんな境遇にある人がいることをわたしはほとんど知らずに生きてきました。それは周囲にそのような環境がなかったというのも一因としてありますし、自分の目線にある世界以外にはまったく興味を持っていなかった好奇心のなさが原因でもありますが、とにかくわたしの想像力では補えないような境遇にある人というのが世界には少なからずいるわけで、そういった話を見聞き出来るのも映画のひとつの魅力だと言えます。
本作「プレシャス」の主人公クレアリースは、16歳で2人目の子を産むことになるのですが実はその子どもたちの父親はクレアリース自身の父親であるという衝撃的な事実が冒頭で明かされます。つまり近親相姦(しかもレイプ)によって妊娠させられ、その子を産むということなんですよね。。。
わたしは二児の父親なのでこういう話を聞くと思わず自分のことに置き換えて考えてしまうのですが、どうしたって無理ですよね....。
話として聞くだけでも萎えるし、いったいどういう神経をしていたら自分の子どもを性的な対象として見られるのかさっぱり理解出来ないのですが、だからこそ、この映画を通して「そういう人も世の中にはいるということを知ること」がすごく大事だと感じたし、理解するのではなく「ひとつの事実としてまずは受け止める」という姿勢が必要なんじゃないかと思ったのです。


そして、そんなわたしには想像もつかなかった劣悪な環境で育ったクレアリースが、よき理解者を得て自身の置かれている環境から抜け出して自立しようともがいて幸せを手にしようとする姿を見ていたら、わたしの日常のだらしなさというかふがいなさに腹が立つ思いでした。久しぶりにこんなに自分のことをグーで殴りたくなりました。
もちろん自分と彼女は生まれも立場も違うわけで一律に比べるものではないというのは承知していますが、それでももっと頑張れるんだからもっと頑張れよ!と自分を鼓舞したくなりました。


そしてこの作品におけるMCC(Most Cute Character)に選ばれたマライア・キャリーがあまりに魅力的でしたので、帰ってきてからマライアの歌声が聴きたくなってCDを漁ってしまいました。

この速さなら言える! 俺はマライア・キャリーが好きだ!


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